2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20249047
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
内田 信一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (50262184)
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Keywords | リン酸化 / 輸送体 / 高血圧 |
Research Abstract |
1.偽性低アルドステロン症II型(PHAII)におけるNCCのリン酸化の亢進は、WNKからOSR1/SPAKへの刺激に完全に依存していることをWNK4,OSR1/SPAKのトリプルノックインマウスの作成により証明した。WNKによりリン酸化される部位に変異を入れたOSR1/SPAKノックインマウスとPHAIIモデルマウスであるWNK4ノックインマウスを交配し、PHAIIの形質がこれらのトリプルノックインマウスでは完全に消失する事から、PHAIIの原因は、我々の発見したWNK-OSR1/SPAK-NCCシグナル系の恒常的亢進であることを証明した(JCS,Chigaら)。 2.WNKキナーゼの生理的制御因子としてインスリンを同定した。メタボリックシンドローム患者では塩分感受性高血圧症が見られることから、インスリンがこの系の制御因子であるかどうかを検討し、インスリンが生体内でも強力にこの系を活性化させることを示した(PLoS ONE,Soharaら)。 3.WNK3の腎臓での役割をノックアウトマウスを作成して解析した。腎臓において、何か主要なWNKキナーゼであるかを探るため、WNK3のKOマウスを作成し解析した。その結果、NCCのリン酸化に変化は無く、腎臓でのWNK3の寄与は少ないと結論した(Biol Open,Oiら)。 4.WNK4の腎臓内での詳細な局在を新たな抗体を作成して明らかにした。WNK4の腎内分布は遠位尿細管ではタイトジャンクションという報告があったが、新規の抗体を作成し解析したところそうでは無く、細胞内管腔側膜下であることが判明した(Histchem Cell Biol,Ohnoら)。 5.OSR1のコンディショナルKOマウスを作成し、腎内でのOSR1の役割を確定した。OSR1はKOマウスが致死のため、コンディショナルKOマウスを作成し解析したところ、OSR1はヘンレの太い上行脚に主として存在し、NKCC2のリン酸化に関わっている事が示された。その機能低下はバーター症候群を引き起こす可能性が示された(PNAS,Linら)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた遺伝子改変マウスの作成と解析も順調に行われており、WNK-OSR1/SPAK-NCCシグナル系の上流のシグナル解析も進み、この系の全体像を描けるところまで研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
下記の学会発表欄にあるように、更に多くの論文を来年度には発表できる見込みであるのに加え、最近新たに遺伝子改変マウスの作成に成功した。また新たな上流の制御因子も発見できたので、来年度中にはWNK-OSR1/SPAK-NCCシグナル系の全貌を描く事が可能と思われる。その他、この系を制御する化合物のスクリーニングも並行して行っており、有望な創薬シードを得られると思われる。
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