2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨格系の制御システムと脂肪・血管制御系との連関およびその異常に基づく病態の解明
Project/Area Number |
20249050
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松本 俊夫 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20157374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安倍 正博 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (80263812)
粟飯原 賢一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (70372711)
藤中 雄一 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30432751)
遠藤 逸朗 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10432759)
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Keywords | 内科 / 老化 / 多発性骨髄腫 / 骨粗鬆症 / 糖尿病 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
(1)骨形成障害に基づく病態の解明と治療法の開発 力学的負荷の低下に伴う著明な骨形成障害の機序を解明し、その予防・治療法を確立するため、力学的負荷による骨芽細胞分化の制御機構の解明を図った。力学的負荷によるIL-11遺伝子プロモーター上でのAP-1転写因子ΔFosB/JunD二量体とSmad1/5との複合体形成によりIL/11の遺伝子の転写が促進される。増加したIL/11はcanonical Wntシグナル抑制因子DKK-1, 2の発現抑制を介し骨芽細胞分化を促進することを示した。一方、JunDのAP-1結合活性は加齢と共に低下し、並行して骨芽細胞分化が抑制される。今回、JunDに結合し酸化ストレスによるJunD塩基領域内システインの酸化を防止しAP-1結合活性の低下を防止するMBF-1を同定した。MBF-1は加齢に伴いユビキチン化され分解されることから、老化に伴う骨芽細胞分化の抑制にこのMBF-1蛋白の低下が関与する可能性を明らかにしたる (2)多発性骨髄腫に伴う骨破壊病変の発症機序の解明と治療法の開発 骨髄腫細胞の生育・増殖は骨髄微小環境において間質細胞や破骨細胞の共存下で促進される。この骨髄腫細胞の生育・増殖の促進には、その機序として、IL-6や破骨細胞からのTNF familyサイトカインBAFF/APRILなどが重要であることを示した。その機序として、IL-6は骨髄腫細胞においてJAK/STAT3経路を介して、またBAFF/APRILなどはNF-kBを介して骨髄腫細胞のセリン・スレオニンキナーゼPim-2を活性化し、Pim-2がアポトーシス誘導因子Badをリン酸化することにより抗アポトーシス作用を発揮することを見出した。 (3)骨格系における循環動態の障害に基づく病態の解明と治療法の開発 グルココルチコイド(GC)過剰により、酸化ストレスの増大と内皮型一酸化窒素合成酵素eNOSの発現低下を介し血管内皮機能が障害され大腿骨頭壊死を発症することを示してきた。GCはその受容体GRとの結合を介して作用するが、GRとミネラロコルチコイド(MC)受容体MRとの間にはGC親和性に殆ど相違ない。血管内皮細胞ではGC不活性化に関わる11β-HSD2の発現が低くGCがMRに結合し転写活性を促進することを見出した。更にこれらのGC作用はGR阻害薬RU486と共にMR阻害薬スピロノラクトンにより抑制されたことから、MR阻害が血管内皮機能の改善を介して大腿骨頭壊死症の新たな予防・治療法となる可能性を示した。
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Research Products
(30 results)