2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳内神経変性疾患に対する再生医療・遺伝子治療効果判定に有用な放射性診断薬の開発
Project/Area Number |
20249055
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川井 恵一 Kanazawa University, 保健学系, 教授 (30204663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 康 宮崎大学, 医学部, 教授 (20212897)
間賀田 泰寛 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 教授 (20209399)
岡沢 秀彦 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50360813)
天満 敬 京都大学, 薬学研究科, 助教 (90378787)
吉本 光喜 国立がんセンター, 共通実験室, 主任研究官 (00345638)
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Keywords | 脳内神経変性疾患 / 再生医療 / 遺伝子治療 / 治療効果判定 / 放射性診断薬 / PET撮影 / 遺伝子発現量解析 / 神経化学的評価 |
Research Abstract |
近年、脳内神経変性疾患の早期検出と治療効果判定法の確立が望まれている。これらの推進には、神経変性過程の早期に変化し発症に至る神経機能の先行指標を見い出し、再生医療や遺伝子治療後の神経機能回復過程を最も鋭敏に反映する機能的指標を明らかにすることが重要である。本研究では、脳内神経変性疾患に対する再生医療及び遺伝子治療の効果判定を目的として、神経変性後の移植・遺伝子導入モデル動物において、神経機能診断薬を用いて同一個体における機能変化を評価し、行動薬理・免疫組織化学的評価との比較などから病態発症および機能回復との相関を明らかにする。 これまでの検討において、偏側神経破壊パーキンソン病モデルラットの発症過程にみられる脳内ドーパミン神経機能変化をPET製剤により解析した。その結果、大脳皮質や小脳では処置側の集積は変化しなかったが、線条体では、D1レセプターは急性期には処置側の対側集積比に変化がなかったのに対し、D2レセプターでは急性期から顕著な増加がみられ、発症期にはさらに増加した。これらの変化は、発症期の行動薬理試験や免疫染色の結果とも相関しており、発症過程の先行指標になり得ると考えられた。 そこで、本法の再生医療効果判定への応用の観点から、上記パーキンソン病モデルラットの破壊側線条体に胎仔中脳ドーパミン神経細胞を移植した移植群を用いて、回転運動の観察により移植による代償及び機能的亢進を評価した。ドーパミンレセプターリガンドやドーパミン前駆物質誘導体等のPET製剤投与による解析の結果、移植群中の個体差が大きく、再現性の点で問題があったが、行動薬理試験および免疫染色による機能回復に一定の効果が得られるようになった(Synapse, 62:920-926,2008)。さらに、PETによるドーパミン神経機能評価に加えて、機能回復過程における神経機能変化のより詳細な評価を目的として、画像化とともに機能性分子の遺伝子発現レベルを網羅的に解析し得る研究体制を新たに構築した。
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