2011 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜症の癌化とその対策-前向きコホート研究と分子生物学的研究によるアプローチ
Project/Area Number |
20249066
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
寺川 直樹 鳥取大学, 名誉教授 (90163906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 省 鳥取大学, 医学部, 教授 (40218649)
板持 広明 鳥取大学, 医学部, 講師 (20314601)
谷口 文紀 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (40322218)
林 邦彦 群馬大学, 医学部, 教授 (80282408)
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Keywords | JEMS / 子宮内膜症 / がん化 / 疫学研究 |
Research Abstract |
卵巣子宮内膜症性嚢胞からの癌化が知られているが、生殖年齢層のおよそ10%が子宮内膜症に罹患するとされており看過できない。卵巣子宮内膜症性(チョコレート)嚢胞からの癌化の大部分は明細胞腺癌と類内膜腺癌であり、明細胞腺癌は欧米に比して本邦で頻度が高いことが報告されている。これらの背景から、世界初の前方視的研究「本邦における子宮内膜症の癌化の頻度と予防に関する疫学研究」を企画した。本研究の目的は、大規模解析により(1)卵巣チョコレート嚢胞の正確な癌化率を算出し、(2)患者背景の解析からリスク因子を抽出し、(3)嚢胞摘出術による癌発生の予防効果を検索することである。研究デザインは前向きコホート研究およびネステッド・ケース・コントロール研究からなり、全国の医療機関を受診した30歳以上の卵巣チョコレート嚢胞患者を対象に4年間で12,000人の患者情報を集積し、登録後10年間の追跡予後調査を行う。各医療施設の倫理委員会の承認を得た施設から患者登録を順次開始し、登録数は約1,700を数えている。登録患者からの癌発生もすでに7例報告されており、現在第3回目の全国予後調査を開始している。さらに、過去3年間の観察期間における卵巣チョコレート嚢胞癌化に関する後方視的研究を行い、興味深い成績を得た。卵巣癌発生例の大半の組織型は明細胞癌で、進行期はI期であり、進行癌症例は比較的少なかった。基礎研究として、卵巣チョコレート嚢胞および卵巣チョコレート嚢胞を合併した卵巣明細胞腺癌組織からレーザーマイクロダイセクション法にて上皮細胞群を捕捉したのちに、DNAマイクロアレイを用いて、網羅的遺伝子発現情報の検討を行った。この解析データを基にして、卵巣チョコレート嚢胞から明細胞癌への発癌に関与する遺伝子群を検索し、それらの機能解析を行った。なかでも、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)-2遺伝子の卵巣癌上皮組織での発現増強に注目して、機能解析を行った。
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Research Products
(14 results)