2010 Fiscal Year Annual Research Report
国際政治に見る欧州と東アジアの地域統合の比較研究-規範、安全保障、国境、人の移動
Project/Area Number |
20252006
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
羽場 久美子 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (70147007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 吉宣 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (20092025)
袴田 茂樹 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (40148581)
押村 高 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (20169296)
高本 誠一郎 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (90114214)
手塚 和彰 青山学院大学, 法学部, 教授 (90013010)
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Keywords | 地域統合 / 冷戦の終焉 / 制度と理論 / アジア / ヨーロッパ / 多国間関係 / 人の移動 / 和解 |
Research Abstract |
1)研究成果の具体的内容 本研究はこれまで1.人の移動、2.和解、3.冷戦終焉などから地域統合研究を積み重ねてきた。今年は特に、4.制度と理論に焦点を絞り、山本吉宣・高木誠一郎氏を中心に研究を深めた。2011年1月末には、共同研究の成果を基礎に、「アジア、欧州の地域統合と理論・制度の比較研究」と題し、Ikenberryを初め世界トップクラスの著名な研究者を招聘し、質の高い国際会議を開催した。その成果は和文・英文の研究成果報告書にまとめた。 2)意義-新たな知見の創出。 本研究の重要な特徴は、EUやアジアの地域統合を国際関係のマクロな視点から総合的に把握し、拡大EU27カ国、ASEANを核とした数十力国に及ぶ地域統合の現状を精緻に分析すると共に、境界線の外の地域や民族の国際関係にも焦点を絞り研究を継続したことである。旧来の西欧研究だけでは27カ国EUは語れない。同様に日中韓だけでもアジアの共同は語れない。「多様性の中の統合」や「規範・制度化」を検討する上で、現実の多様性をリアルに分析し、現状の問題点から突破口を探っていく姿勢が極めて重要である。 3)本研究の、他にはない重要性と特徴 旧来の欧州・アジアの諸国関係は、国家を中心とする2国間関係が中心であった。しかしグローバル化時代にあって、EU研究を初め今後は多国間の国際関係の多元的な分析が求められる。今回、2008年の世界金融危機を経験し、グローバル化と市場経済の関係を抜本的に見直す視点を得たこと、新しい国際関係の中で地域統合を位置づけ返す必要を認識できたことは、大きな意義を持つ。統合理論も新たな状況の下で理論と制度を再構築する必要がある。本研究は、地域統合に関し、理論、制度、主権、安全保障、国家と社会を総合的に検討するに際し、日本に誇る優秀な人材がそろっていると自負する。3年間の共同研究を踏まえ、残り2年で成果をまとめ、水準の高い論文・著書を刊行し、世に問いたい。
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