2011 Fiscal Year Annual Research Report
国際政治に見る欧州と東アジアの地域統合の比較研究―規範、安全保障、国境、人の移動
Project/Area Number |
20252006
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
羽場 久美子 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (70147007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
袴田 茂樹 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (40148581)
押村 高 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (20169296)
天児 慧 早稲田大学, アジア太平洋研究科, 教授 (70150555)
森井 裕一 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (00284935)
李 鐘元 立教大学, 法学部, 教授 (20210809)
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Keywords | 地域統合 / アジア / ヨーロッパ / アメリカ・中国 / 境界線 / グローバリゼーション / 安全保障 / 制度化 |
Research Abstract |
2011年は、科研を受けてから3年目となるため、これまでの成果をまとめるべく、研究共同看の諸先生万の協力を得て、日本語と英語で成果を出版した。原稿は、4月に予告し、8月にそれぞれの先生方から研究原稿をいただき、それを半年間かけて、まとめる作業を行った。 1)『国際政治から考える東アジア共同体』山本吉宣・羽場久美子・押村高編、ミネルヴァ書房、2012年。 2)The Regional Integration and Institutionalization comparing Europe and Asia,Ed.by G John Ikenberry,Yoshinobu Yamamoto,and Kumiko Haba,Shohkado,Kyoto,2012. 3)Asian Economic Development among EU,Asia and Japan,Ed.by Kumiko Haba,Szerdahely Istvan,Brij Tanka,and Wang Min,Aoyama Gakuin University,Tokyo,2012. これらを踏まえ、研究代表者羽場久美子はこの間のEUとアジアの地域統合の比較研究をまとめる過程で、羽場久美子『グローバル時代のアジア地域統合-日米中関係とTPPのゆくえ』岩波書店、ブックレット、2012年を刊行した。また、7月には、EUの議長国が、EU新加盟国のハンガリーとポーランドとなったので、それとアジアの地域統合の関係を検証すべく、ハンガリー大使館、ハンガリー外務省、日本外務省欧州局ASEM室の協力を得て、国際会議を開催した。これには、日欧産業センターや日本EU学会だけでなく、中国社会科学院、インドのデリー大学の協力も得ることができ、今後の研究協力関係の基礎が気付けたことは、ありがたいことであった。さらに2011年9月からは、研究代表者である羽場久美子が、ハーバード大学国際関係研究所に在外研究の場を移したため、一方では、研究成果をまとめて出版する作業とともに、他方では、アメリカおよび欧州との海外共同研究活動を強化すべく、ネットワークを拡大する作業を行った。一つには、ハーバード大学のケネディースクールのJoseph Nyeや、ライシャワー研究所および国際問題研究所のEzra Vogel,また国際問題研究所日米研究センターのSusan Pharrらとともに、「アジアの地域統合とアメリカ、日本」の研究について、検討を行った。ハーバード大学との共同で、アジアの地域統合研究を行う成果については、現在、2012年5月に、ハーバード大学ケネディースクール、国際政治におけるSoft Power研究の大家、Joseph Nye教授らとともに、国際会議を開く予定であり、現在ASEAN事務総長、中国外交学院元総長らとともに企画を検討している。以上、基礎研究での科学研究費を得ることにより、この3年間、アジアや欧州及び、日本国内の諸機関(EU代表部、国連大学、日欧経済産業センター、外務省欧州局)などとともに、共同研究を深め、日本で第一級の研究成果を世に出すことができたことに感謝している。引き続き、水準の高い研究を維持すべく、2012年度も努力を重ねる所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
丁度、2008年から2012年の5年間で、「アジア地域統合」の研究を進めてきたが、2009年には政権が代わって「アジア地域統合」が極めて現実的課題として始まり、また昨年2011年にはアメリカのオバマ政権も「アジア太平洋の一員」としてアジアとの協働関係に入り、TPP交渉の開始を宣言するなど、時代が研究テーマを後押しした影響も大きい。またすぐれた研究協力者たちも、それぞれの場で地域統合の研究を進め、世界的ネットワークを構築して研究を深め合うことができ、それを基礎に活字の成果も予想以上に早く出すことができた。最後の1年が残されているが、これまでの蓄積を生かしながら、着実に最終的なまとめが出せるよう、さらなる研究努力を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
最初にも既述したように、今後の研究計画として、一つには、ハーバード大学と協力しながらハーバード大学国際関係研究所・ケネディースクール・ライシャワー研究所とともに、Joseph NyeやEzra Vogel,Susan Pharrらの協力を得て、アジアの地域統合に関する研究について、共同で2012年5月に国際会議を開く予定である。その成果は、英語と、可能であれば日本語で、書籍として出版したいと考えている。またボゴールで開かれるアジア学術会議の国際会議に出席し、研究成果を問うことも計画している。秋には、EU関係者とアジアの研究者により共同研究会議を開く予定で、この二つ(ハーバード大学との協力による国際会議、EUとの共同による国際会議)を合わせて、英文の出版物を刊行する。 さらに、今年度中とはならないかもしれないが、この5年間の成果を最低2冊の出版物にまとめて、刊行することを予定している。その他、学術会議とも連携して、アジアとの共同大学院大学構想を実現することをも目指す。アジアの地域統合の進展に研究者集団として貢献したいと考える。
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