2008 Fiscal Year Annual Research Report
フランスの移民問題の現状及び社会統合政策上の課題に関する調査研究
Project/Area Number |
20252008
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
宮島 喬 Hosei University, 社会学研究科, 教授 (60011300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 裕二 駒澤大学, 法学部, 教授 (10253387)
若松 邦弘 東京外国語大学, 外国語学部, 准教授 (90302835)
森 千香子 南山大学, 外国語学部, 准教授 (10410755)
荒又 美陽 恵泉女学園大学, 人間社会学部, 助教 (60409810)
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Keywords | フランス / 移民 / 社会統合政策 / EU / 失業 / イスラーム / 都市問題 / 新移民政策 |
Research Abstract |
研究代表者、分担者、研究協力者の計9名が、フランス(パリ市)およびベルギー(ブルッセル市)で、現地調査に携わった。初年度なので、各領域ごとの問題の所在を広く捉えることに努めた。その結果、次のような問題の所在が確認された。1)労働市場における移民の位置については、高失業が大きな民族間格差を隠し持っていること、特に西欧系移民と非西欧系移民の失業率格差がきわめて大きく、解明を要すること、が明らかとなった。2)都市のインナーシティでは移民は再開発のなかで排除されがちであり、他方郊外コミュニティでは移民の若者たちは疎外されつつも、政治参加に関心を示しており、その両面が注目される。3)増大するイスラーム系移民に対する差別的感情と彼らの行動への規制(2004年の宗教的象徴禁止法)が、彼らの社会統合を困難にしている。4)EU本部で聞き取りを行った。EUの政策が各国に影響を及ぼしつつあるが、なかでも、第三国外国人(非ヨーロッパ移民)の統合に関するEU指令の影響が注目される。5)2006年以降、フランスでは新しい移民受け入れ法が施行され、高技能外国人の受け入れを優先する政策が始まったが、他方難民受け入れや家族再結合に以前より厳しい審査が行われるようになり、その影響が議論を呼んでいる。以上のような問題の所在が確認されたので、平成21年度において、掘り下げた実態調査へと繋げることとする。
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Research Products
(2 results)