2009 Fiscal Year Annual Research Report
季節性湿地帯の水環境と人間活動に調和した粗放稲作の導入
Project/Area Number |
20255008
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
飯嶋 盛雄 Kinki University, 農学部, 教授 (60252277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 芳昭 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (80290641)
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Keywords | 氾濫水 / 地下水 / 環境保全 / ネリカ / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
今年度の研究では,ボーエン比計測システムによるモデル水田からの蒸発散量測定を継続するとともに,現地の慣行農法であるトウジンビエ栽培と融和しうるイネ栽培体系を村落開発の視点から構築することを主要な目的とした.昨年度の研究では,季節性湿地帯の本流に開設したモデル水田が大洪水により1m近い水位になり移植した耐塩性イネがすべて枯死したため,本年度はまず,この問題を解決することを目指した.特定の品種だけではなく広範な性質を持つイネ品種群を日本から約100kg空輸し,数回にわたる直播を実施するとともに同様に数回にわたる田植えも行った.しかし,今年度は過去2年間の傾向とは全く異なり,厳しい乾燥年となったためモデル水田における水稲の成育は芳しい状況ではない.2010年3月7日時点の情報では,いまだ洪水が確認できておらず,降水依存型の稲作を実施しているところである.現地情報では,過去数十年間で洪水が確認できなかった年は無いようであるが,今後の天候と洪水の規模を来年度の研究に生かすことが必要となる.次に,トウジンビエ作と融和するイネ栽培体系として,トウジンビエ畑の中の低地に溜まった小規模湿地を利用し,トウジンビエとイネという水ストレス耐性の両極端に位置する主要穀物の混作体系をデザインし,中間にはモロコシを配置するという新しい農法の実験を3箇所の農家圃場で開始した.社会学調査として,この農法に関するフィールドデー実施前後に現地農家にインタビューし,その結果を現在解析中である.なお本研究で実施する基礎研究とともに,現地に新規農法を普及させることを目指して.国際協力機構による活動とのリンクについて検討を開始した.
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Research Products
(8 results)