2011 Fiscal Year Annual Research Report
季節性湿地帯の水環境と人間活動に調和した粗放稲作の導入
Project/Area Number |
20255008
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
飯嶋 盛雄 近畿大学, 農学部, 教授 (60252277)
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Keywords | 氾濫水 / 地下水 / 環境保全 / ネリカ / 国際研究者交流 / ナミビア |
Research Abstract |
本年度の研究では、まず5月に日本側研究者が全体会議を実施するとともに、その後、それぞれのグループでの個別の会議を数回にわたって実施した。飯嶋が乾季に出張しナミビア側研究者との打ち合わせを行い、引き続き稲作導入活動を進めるとともに、ボーエン比法システムを設置した圃場において水稲を栽培し蒸散量測定を継続するとともに、さらに可視画豫解析による湿地の消長の観測を実施することで合意した。稲作導入活動では、今年度からは、稲の苗だけでなく希望者には種子の提供も開始した。藤岡と甲斐田が、雨期が始まる直前の12月に、オナムンディンディ小学校で、これまで稲作を実施した農家と今後イネ栽培に関心がある人々を対象に農家の意識とその変化についてワークショップによるディスカッション形式で調査を実施した。稲作を体験した感想についてフリーディスカッションを行った結果、稲作への興味がますます高まっていることを確認するとともに、トウジンビエとの共存を望んでいることが明らかとなった。ボーエン比圃場では今年は洪水の到来が早く、生育前半の稲が水没するという事態に遭遇した。蒸発散量計測地であるオゴンゴキャンパスを含む小領域の水収支を解明するために可視画像の解析を行った。雨季の小領域内の水面面積を精度よく求めるために、解像度15mのASTER画像を利用し、さらに水面面積の季節、年々変動を明らかにするために、ASTER画像よりも高頻度で入手可能な解像度250mのMODIS画像の解析を実施した。MODIS画像の解析により対象小領域における水面面積の季節、年々変動をとらえることができた。それによると、2000年以降では、当地の水面面積は増加傾向にあることが分かった。国内では、近畿大学において、根箱法による、ストレス条件下でのイネの根系発達調査などを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
稲作導入に関しては、稲作を開始したいと望む農家数が年々増加傾向を示し、苗供給だけでなく種子の供給を望む農家も出始めており、稲の生産が着々と増加していることがあげられる。その中で社会科学系のワークショップも定期的な開催が軌道に乗り、農家の意識調査が進んでいる。さらに季節湿地本流での蒸発散量測定が継続されており、衛星画像解析も始まったことから、まずまずの達成度であるといえよう。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように現地では稲作が急速に進みつつあるため、これまでの方針で研究を継続する。現状では稲の導入にあたって、農業資材の投入を行っていないため粗放稲作が導入されつつあると言えよう。来年度は最終年度にあたるため、来年度の2月頃までの成果が最終的な到達点となる。したがって、来年度雨期の作付とその後の稲の成長によって最終評価を行う。ワークショップ、蒸発散量測定、衛星画像解析などもこれまで同様、継続して実施することとする。
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Research Products
(5 results)