2008 Fiscal Year Annual Research Report
インドミゾラム州における竹類の大面積一斉開花枯死が地域の生態系と焼畑に及ぼす影響
Project/Area Number |
20255011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柴田 昌三 Kyoto University, フィールド科学教育研究センター, 教授 (50211959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蒔田 明史 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (60315596)
箕口 秀夫 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (30291355)
西脇 亜也 宮崎大学, 農学研究科, 教授 (60228244)
長谷川 尚史 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (70263134)
齋藤 智之 独立行政法人森林総合研究所, 木曽試験地, 研究員 (00414483)
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Keywords | Melocanna baccifera / 一斉開花枯死 / DNA分析 / ネズミ / 衛星データ / 広域開花 / 焼畑 / 生態系 |
Research Abstract |
本年度は、対象とする竹類であるMelocanna bacciferaの開花・結実から一年を経過した年にあたった。生態学的な調査を通して、開花後の竹林では実生成長による次世代の生育が確認されたが、想定していた以上の前世代の枯死個体による攪乱が発生しており、次世代群落の再生には想像以上の時間がかかる可能性が示唆された。再生した次世代の稈に関しては、固定調査地において全稈の葉の採取を行い、その分子生態学的解析を通して、次世代のクローン配置に関する解析を行うための試料の十分な採集が行えた。 一方、現地調査を通じて得られた情報に基づいて、数十万km^2規模での衛星データを用いた、開花枯死域の特定を行い、ミゾラムを含むインド北東部のみならず、隣接するミャンマーやバングラデシュにおける開花の発現年を推定することができた。この解析により、政治的な理由等により実際に入域が困難な地域に関する開花情報も抽出することができた。その結果、自生域と推定されている地域において2005年から2009年の間にほぼすべての竹林が開花枯死し、開花域の経時的な変遷が解析できた。 焼畑農業が卓越する地域においては、竹の開花のタイミングと焼畑のための火入れを行うタイミングとの関係から、現地で高い生産量を得る上で重要とされる竹植生の継続的な存続を維持するための、竹類開花時の取り扱い方に関する情報を得ることができた。また、開花が及ぼすネズミ個体群への影響に関しても重要な知見が得られた。これらの情報は、これまで経験値としては現地等で伝えられてきたものであるが、それを実際的な数値化ができた初めての例である。
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Research Products
(8 results)