Research Abstract |
本研究の目的は,テレビ番組やウェブ情報の中から,信頼性の高い情報を,内容の偏りなく動的に組織化・提示し,知識(いわば動的な百科事典)として利活用できる基盤技術を確立することである.低信頼度情報の検出技術,コンテンツの組織化技術,ユーザインタラクション技術の各項目に関して,平成22年度は以下の研究開発を行った. 1. 低信頼度情報の検出技術については,ユーザ基準の範囲を拡張し,プロトタイプへの組み込みを図った.具体的には,冷蔵庫食材を考慮したユーザ基準のあり方を検討し,いくつかの利用パターンに応じて基準との合致度計算を可変とすることで,従来手法に比べ良好な結果を得た.また,冷蔵庫食材を基準とする際にユーザが好みを簡単に登録できる手段をプロトタイプとして実装し,基準に合致したレシピを効率よく取得できることを予備実験で確認した. 2. コンテンツの組織化技術については,これまで開発したコンテンツ間の関連性の発見と分析手法の改良を図った.具体的には,主題と結果事象の一致性や原因記述同士の類似性といったニュース記事が持つ構造特徴を利用して記事集合から因果関係を抽出する手法や,人物に着目したコンテンツおよび発信者の差異分析手法を研究開発した. 3. ユーザインタラクション技術については,ユーザ基準に照らした際のデータの合致度の視覚化,および,ユーザ基準に基づく推薦機能の基本部分を実装した.具体的には,一定の条件のもとで処理対象となるデータと,ユーザが設定した基準に合致するデータの各分布を視覚化し,検出された低信頼度情報の妥当性を俯瞰的に確認できるようにした.また,一定の条件のもとでユーザが設定した基準との一致度が高い順に情報を推薦する機能を追加し,ユーザ基準や興味に応じたわかりやすいナビゲーション手段の一部とした. 以上について,雑誌論文2件,学会発表10件の成果を上げた.
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