Research Abstract |
本研究の目的は,テレビ番組やウェブ情報の中から,信頼性の高い情報を,内容の偏りなく動的に組織化・提示し,知識(いわば動的な百科事典)として利活用できる基盤技術を確立することである.低信頼度情報の検出技術,コンテンツの組織化技術,ユーザインタラクション技術の各項目に関して,平成23年度は以下の研究開発を行った. 1.低信頼度情報の検出技術については,情報の信頼性判断に役立つ根拠をより効率よく確認する改良として,テレビ番組の図表画像に着目した検索機能を実装した.テレビ番組は,公共性や視聴率確保のため,内容の平易さや一定の品質維持に常に配慮されている.ここでは,ある対象の時間的変化を記述した動向情報を対象に,それと関連する番組中の図表画像の検索・提示機能を実装した。評価の結果,該当図表が番組中に存在すれば,ユーザに理解しやすい内容で根拠を提示できることが確認された. 2.コンテンツの組織化技術については,関連情報を適切に網羅した一覧を提供する機能を研究開発した.具体的には,Twitterの旅行体験を対象に,旅行体験とツイートとの関連性を時間・空間・内容から計算し,体験ごとに整理してユーザに提示する機能を実装した.評価実験により,時空間の連続性を考慮した関連度を用いる方法は,キーワード検索の結果による組織化よりも高精度の組織化が可能であることを確認した。 3.ユーザインタラクション技術については,これまでに実装したナビゲーション手段による利活用に加え,社会的フィルタリングに着目した信頼性向上手段について研究開発した.具体的には,簡単な振る操作でユーザの感情を表現・共有可能な機能と,Twitterのエージェントアカウントを介したグループ内情報共有支援システムを実装した.実運用による評価の結果,感情の容易かつ正確な伝達,および,人による保証を伴った情報流通が可能であることを確認した.
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