Research Abstract |
本研究は, 知識発見の原理の究明と実働化を目指して, 特にデータ圧縮技術との関連に着目しながら, 理論と応用の両面から研究を展開することを目的としている. データ圧縮に関しては, データに内在する繰り返し構造をうまく抽出することが重要であるが, 文字列の繰り返し構造を抽象化した概念である連(run)について, 本年度は, 文字列に包含されうる連の平均数を解析し, それを厳密に表す閉じた数式を導出することに成功した. また, 探索的な手法によって, 連を多く含む文字列を計算機実験によって発見し, その観察に基づいた数学的な解析によって, 連の最大数の下限をこれまでに知られていたものから大幅に更新することができた. さらに, 文法を用いて指数的に圧縮された文字列を, 陽に展開することなく, 回文構造やスクエア構造の検出をしたり, 最長共通部分文字列の計算を行ったりする多項式時間アルゴリズムを開発した. また, 基本形式体系(EFS)で表現される言語の部分クラスにおいて, 自己組織化と呼ばれる連接に類似した操作の閉包性を解明した. 一方, 現実の問題への応用に関しては, 自律型ロボットのプログラミングに関して, シミュレーションによる仮想環境と, 実際にロボットが動く実環境とを融合した拡張仮想現実環境を構築した. このことにより, ロボットの学習において, 人手の介在する手間を大幅に削減するとともに, またロボットの可動部分の消耗を減らし, かつ学習効率を上げることができるようになった.
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