2010 Fiscal Year Annual Research Report
視聴触覚フィードバック遠隔操作における装飾器の性能評価
Project/Area Number |
20300079
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
矢向 高弘 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (20286652)
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Keywords | 遠隔操作 / 視聴触覚フィードバック / マルチメディア通信 / 装飾器 / バイラテラル制御 |
Research Abstract |
22年度は、21年度に明らかになった聴覚装飾器の問題点を克服するために、複合音を用いた装飾器の提案と実装を行い、実験的に評価を行った。まず、単一正弦波音を回転体の位置に応じて振幅変調あるいは周波数変調させた従来の聴覚提示を人工環境音と位置付けた。これに対し、不協和音となる別周波数の正弦波成分を連続的に加えることによって連続的な環境の変化を提示する和音と、予め用意していた音源データを離散的に通知する警報音とを合成して提示する方法を提案した。 次に、通報したい事象と音装飾の種類の対応付けを行うために、人間が各々の装飾手法を知覚する性能を実験的に調査した。まず、和音と不協和音から快・不快という知覚を得るまでの応答時間を調査した結果、基本周波数が一定の時には400msから600ms、基本周波数が変動する場合には300msから430msほど必要であることが分かった。これは、本研究での課題としている遠隔操作に対して遅いため、操作性を向上させる目的で利用することはできないことがわかった。一方、音源データを離散的に通知する警報音は、危険領域と目標領域の両方を通知するのに有効であることがわかった。 以上のことから、環境を連続的に表す人工環境音と、危険領域と目標領域を離散的に通知する装飾音の両方を用いて遠隔操作の実験を行った。触覚提示は常に与え、視覚提示の有無と、視覚提示遅延の有無について調査した。その結果、視覚提示が無い場合にはタスク達成時間を約148秒から48秒へと短縮でき、また視覚提示を120msだけ遅れて与えた場合には24秒から15秒へと短縮できた。このことから、適切な音装飾を与えることにより、遠隔操作の操作性を向上できることが実証された。
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