2008 Fiscal Year Annual Research Report
2色覚者の色覚メカニズムと色の見え方の解明ー新しい色の感性への展開ー
Project/Area Number |
20300081
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
篠森 敬三 Kochi University of Technology, 工学部, 教授 (60299378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中内 茂樹 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (00252320)
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Keywords | 色覚 / 錐体応答 / 視覚心理物理学 / 感性応答 / ユニバーサルデザイン / 時間応答 / 色弁別 / 色のカテゴリー |
Research Abstract |
本研究は,色彩環境の改善を図る上で必要不可欠な2色覚者の色覚メカニズムと色の見え方の解明を,特に申請者の先行研究結果より得られた色弁別能力と色名表現された色の見えとの不一致の解消に焦点をあてながら行うものである。過去の研究から2色覚者の色覚は,3色覚者の色覚メカニズムより1錐体を除去したような単純な構造ではないと考えられ,様々な特性の測定,明度や錐体寄与の測定,色恒常性の測定などを通して,総合的に,仮説の検証と,2色覚者の色覚メカニズムと色の見え方の解明を行う必要が生じる。 平成20年度に実施したテーマ1「定量的特性データの測定」では,先行研究を拡大し(1)色の見えと色弁別特性の測定と(2)色カテゴリーの測定を行った。2色覚者における色名,カテゴリーという比較的高次の色覚応答について,3色覚者や色弱模擬フィルタ装着の3色覚者との比較を含めて定量的データを取得した。 さらに,S錐体の寄与などの影響を検証するために,平成20年度は、S錐体のみを刺激する青パルスと黄色パルスに対する応答についてその比較を行った。同じ錐体刺激でも増分方向と減分方向ではその応答速度に差があることが示され、錐体信号の処理における非対称性が明らかとなった。また色刺激のサイズと網膜上の錐体分布との関係性を示す色の面積効果に関する関連研究も実施し、面積の増加による彩度増加は、錐体刺激量空間表示で観察したところ色相にはほとんど依存せずほぼ同じ増分であることが示された。両者を勘案すると複雑な高次色応答も、錐体信号の反対色レベル応答への比較的複雑な入力に依存する面が多く、錐体信号量で記述できる可能性が示されたといえる。
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