Research Abstract |
本年度は,まず,NSGA-IIなど従来の進化型多目的最適化手法を多数目的問題に適用した場合の問題点と対応策に関する調査研究を行った.文献調査により,目的数の増加に伴う収束性の悪化が多くの文献で指摘されていること,多数目的問題に対して収束性を向上させる様々な手法が提案されていること,収束性を向上させることに伴う多様性の減少という副作用も既に指摘されていること,などがわかった.文献で報告されている多数目的問題の難しさを具体的に明らかにするために,2目的から10目的のナップサック問題とNSGA-IIを用いた数値実験を行った. 次に,加重和適応度関数を用いた局所探索を組み込むことで,多数目的最適化問題に対するNSGA-IIの性能が大きく向上することを明らかにした.しかし,このような多目的最適化能力の向上は,多様性の増加によるものであり,収束性の向上は少ない。一方,収束性を向上させる手法では,多様性の減少が大きい,これは,目的数の増加により,パレートフロントの次元も増加し,パレートフロント全体を近似することが難しくなるためである.近似の精度を向上させるためには,パレートフロントの一部に絞り込んだ探索が必要であり,逆に,パレートフロント全体を幅広く近似しようとすれば,パレートフロントへの収束性能は低下する. また,パレートフロント全体を一様に近似するための手法として,一様分布重みベクトルを用いるMOEA/Dや優越される超体積の最大化を行うIBEAなどの性能評価も行った.
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