Research Abstract |
物理カオス結合系による実数計算装置を実現するため,アナログ集積回路を核としたカオスニューラルネットワーク回路とノイマン型計算機の融合を図った.そのため,高次元ダイナミクスによる超並列計算を脳の無意識過程に,ノイマン型計算機でのアルゴリズムによる逐次的計算を意識過程に対応させたハイブリッド計算装置を提案し,さらにこれを実装した.例題として,NP困難な組み合わせ最適化問題である二次割り当て問題(QAP)を用い,その有効性を確認するとともに,計算に有効な高次元ダイナミクスを解析した. 一方,NP困難な組み合わせ最適化問題である巡回セールスマン問題(TSP)の近似解法として2-opt法やOr-opt法, Lin-Kernighan法が提案されているが,これらの手法では局所最適解に陥ってしまうという問題がある.そこで,この問題を解決するために,2-opt法とOr-opt法をカオスダイナミクスにより駆動する手法を提案した,その結果,最適解からの誤差率が1%程度の近似解を求めることが可能となった.次に,TSPの近似解法として最も性能が良いLin-Kernighan法にカオスダイナミクスを導入した.その結果,最適解からの誤差率が0.2%程度まで小さくできることを数値実験により示した. さらに,QAPを解くための手法として,相互結合型カオスニューラルネットワークにダイナミカルノイズを印可する手法を提案し,微少量のダイナミカルノイズを用いた場合に解探索性能が向上することを明らかにした. また,非対称巡回セールスマン問題の解法として,ホップフィールド型ニューラルネットワークとブロックシフト操作,さらに,タブーサーチを組み合わせた解法を提案し,小規模な都市数の問題においては,この解法によって厳密解に到達できることを計算機シミュレーションにより確認した.
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