2009 Fiscal Year Annual Research Report
物理カオス結合系による実数コンピューティングシステムの研究
Project/Area Number |
20300085
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
堀尾 喜彦 Tokyo Denki University, 工学部, 教授 (60199544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 雅春 東京電機大学, 工学部, 教授 (20312035)
池口 徹 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (30222863)
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Keywords | カオス / 実数コンピューティング / 複雑系 / 組み合せ最適化 |
Research Abstract |
1.脳の意識・無意識過程の相互作用による情報処理様式にヒントを得た高次元カオス結合系による情報処理様式を提案し、これを実数演算が可能なアナログ回路を活用して実装した。さらに、このシステムが、二次割当て問題に対し高い解法能力を持つことを示すと共に、そのダイナミクスを解析した。また、カオス結合系による実数演算装置を構築するための基本要素として、マルチヒステリシス回路と、それを応用したマルチスクロールカオス回路を提案した。同時に、大容量実数動的メモリを構築するための基本的な実験を、カオスニューロン回路を用いて行い、良好な制御結果を得た。 2.非線形サポートベクターマシンによって連想記憶モデルの結合係数を設定する手法を提案し、これをカオスニューラルネットワークに適用し、従来のモデルより想起頻度が高い動的連想記憶が実現できることを示した。また、自己相関行列による連想記憶カオスニューラルネットワークモデルに適応的格子ダイナミクスにより生成した1/fa揺らぎを印加したモデルにおいて、従来のノイズ印加手法よりパターンの偏りが小さい高頻度の想起が実現できることを示した。 3.巡回セールスマン問題(TSP)の近似解法として2-opt法やOr-opt法、Lin-Kernighan (LK)法、Stem-and-Cycle Ejection Chain (SCEC)法などが提案されているが、これらは最急降下的な探索を行なうため局所最適解に陥ってしまう。そこで、LK法とSCEC法の実行をカオスダイナミクスが制御する手法を提案した。また、計算時間の削減のために、これらの2つの手法を確率的に選択する戦略を提案した。その結果、10^5から10^6オーダの大規模TSPに対しても、最適解からの誤差率が2%程度の近似解を求めることが可能となった。また、解空間を削減するために、複雑ネットワーク理論を用いる手法を提案し、従来法に比べて、有意に解空間のサイズを低減できることを明らかにした。
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