2011 Fiscal Year Annual Research Report
物理カオス結合系による実数コンピューティングシステムの研究
Project/Area Number |
20300085
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
堀尾 喜彦 東京電機大学, 工学部, 教授 (60199544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 雅春 東京電機大学, 工学部, 教授 (20312035)
池口 徹 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (30222863)
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Keywords | カオス / 実数コンピューティング / 複雑系 / 組合せ最適化 |
Research Abstract |
高次元カオスダイナミクスを用いたハイブリッド実数コンピューティングハードウェアシステムを実用化するため、大規模な問題に対応でき、さらに実行時間が問題規模に依存しないような方策について検討した。その結果、システムを完全同期方式により超並列に動作させる方法を提案し、提案した同期ダイナミクスによる演算が従来の非同期ダイナミクスによる演算より高性能であることをシミュレーション実験により確認した。これと同時に、同期システムのハイブリッドハードウェア化のための詳細な検討を複数台PCによるエミュレータにより行い、要素技術を開発した。 また、動的な組合せ最適化問題の代表例として、パケットルーティング問題を中心に、カオスダイナミクスを使用した戦略がどの程度解能力が向上させるのかを解析した。その際、最短配送経路のみならず、ネットワーク上での待ち時間情報などをも導入することで、実場面に即した解析を行った。対象とするネットワーク構造は、近年,実ネットワークにおいてもその存在が認められているスケールフリーネットワークである。その結果、カオスダイナミクスを用いた戦略が最も優れていることを数値実験を通じて明らにした。 さらに、最適化問題の解法において複数の手法を自動的に切り替えるために、カオスニューロダイナミックスを利用する手法を提案した。具体的には、非対称巡回セールスマン問題の2種類の解法を1つのカオスニューロンによって切り替える手法を提案した。これに加え、多目的最適化問題を解く粒子群最適化において複数の手法を切り替えるためにカオスニューラルネットワークを用いる手法を提案した。また、複雑ネットワーク構造を有するNewman-Watts型カオスニューラルネットワークを提案し、このネットワークが外部入力に対してカオス的な応答を含む同期現象を呈することを示した。 以上の成果により、大規模カオス結合系による実数演算の基盤となる技術を確立でき、さらにそれを動的に変化する実用問題にまで応用可能とした。
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