2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20300106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
萩谷 昌己 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 教授 (30156252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 文昭 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助教 (50456159)
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Keywords | DNA計算 / DNAナノテクノロジー / 三次元ナノ構造体 / アゾベンゼン / 分子システム / AFM測定 |
Research Abstract |
本年度では,Maoらによって開発されたサッカーボール状のDNA構造にアゾベンゼンと呼ばれる光応答性の分子を組み込むことにより,紫外光を当てると分解することができるDNAカプセルを構築することに成功した.Maoらのサッカーボール構造は,三又のDNA構造が60個結合してできたものである.本研究では,この三又構造の結合部分のDNA配列中にアゾベンゼンを挿入し,(1)アゾベンゼンを挿入しても球状の構造を形成するか,(2)紫外光の照射によって期待通りDNAカプセルが分解されるか,という2点について検証を行った.ゲル電気泳動や原子間力顕微鏡(AFM)を用いた実験により,アゾベンゼン入りの三又構造が正しく球状の構造を形成し,さらにそれが紫外光の照射で分解されることを確認した.また,三又構造に組み込むアゾベンゼンの数を変化させて実験を行ったところ,アゾベンゼンの数が増えると,DNAカプセルが短時間の紫外光照射で分解されることや,熱力学的に安定な構造になることが示された. 従来研究では三次元構造体を制御する手段として,入力DNAとの結合・配列交換を利用するもののみであったが,本研究成果により,紫外光を用いて構造体を制御(分解)することが可能となった.また,カプセルに含まれるアゾベンゼンの数を増やすことにより,短時間の紫外光照射で分解できることを示したが,これはドラッグデリバリーシステム等への応用を考えた際に非常に有用な特性である.さらに,紫外光への応答だけでなく,アゾベンゼンはDNAカプセル自体を安定化させることも示された.これは,多少の温度変化やイオン濃度の変化ではカプセルが分解されないということを意味しており,生体内などの様々な環境で使用できることが期待される.
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Research Products
(9 results)