2010 Fiscal Year Annual Research Report
電子顕微鏡画像を用いたタンパク質構造変化の自動解析技術の開発
Project/Area Number |
20300107
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小椋 俊彦 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (70371028)
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Keywords | 電子顕微鏡 / 画像情報処理 / タンパク質 / 構造変化 / 並列分散処理 |
Research Abstract |
本年度は、電子顕微鏡画像から自動的に3次元構造を解析するアルゴリズムの開発とその高速化アルゴリズムの開発を行った。これまで購入した画像処理用ワークステーション5台を用いて、並列に動作可能なようシミュレーティッドアニーリングを用いたアルゴリズムの分散処理化を進めた。この分散処理において、高機能な情報処理言語を有するMatlabの並列分散処理システムを用いることで極めて容易に計算処理を行うことが可能となり、従来法に比べて解析速度を飛躍的に向上させることができた。さらに、シミュレーティッドアニーリングによる構造変化画像のクラス分類法に関しても開発を進め、電子顕微鏡による解析を行った。これと平行して、画像情報処理に用いる生物画像サンプルの電顕画像の取得も行い、これらの画像を新規の並列処理システムにより解析を進めている。これまでの研究の中で、画像のノイズ成分によるアーティファクトが解析処理において大きな影響を及ぼすことが示唆されており、出来るだけコントラストが高くノイズの少ない画像を得る方法が必須となっている。そのため、走査電子線を用いた新たな生物サンプルの観察方法を開発し、国際学術誌に発表した。この方法では、走査電子線を薄膜層に入射させ、ここから発生する2次的な物理線量の情報を得ることで、生物サンプルのダメージを劇的に低下させることができた。さらに、解析方法も簡便であり、今後はタンパク質の構造変化を解析するためには、必須の方法となることが予想される。この方法により、得られた高コントラストの電顕画像を用いることで、微細な構造変化のクラス分類が容易になり、タンパク質の構造変化の解析精度が向上するものと期待される。
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