2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパラン硫酸エンドスルファターゼ欠損による行動異常の神経基盤解明
Project/Area Number |
20300108
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桝 正幸 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20243032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桝 和子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50344883)
有波 忠雄 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (10212648)
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Keywords | 脳・神経 / 糖鎖 / 遺伝子 / 遺伝学 |
Research Abstract |
ヘパラン硫酸は、プロテオグリカンのコア蛋白に共有結合した直鎖状の糖鎖であり、硫酸基の配置パターンの違いにより構造多様性を生み出す。我々が見つけたヘパラン硫酸スルファターゼSulf1,Sulf2は、細胞外でヘパラン硫酸内部の6位の硫酸基を特異的に分解する酵素である。ヘパラン硫酸は多くの分子と相互作用し、それらのシグナル伝達を制御していることから、Sulf1,Sulf2を介した6位の脱硫酸により、神経機能に何らかの変化が起こるのではないかと考えられた。Sulf1,Sulf2単独ノックアウトマウスは外見上正常であるが、網羅的な行動バッテリーを用いて行動解析を行ったところ、Sulf1ノックアウトマウスでは行動異常が観察されたが、Sulf2ノックアウトマウスは記憶行動も含めて正常であった。一方、ヒトSULF1遺伝子が双極性障害と遺伝的関連を示すことが明らかとなった。Sulfl mRNAは、嗅覚経路、大脳皮質第6層、側坐核、視床室傍核などに多く発現していることから、これらの神経回路における異常が基盤にあると考えられる。ウェスタンブロッティングでSulf1タンパク質を検出できる抗体、免疫染色で胎児神経系におけるSulf1タンパク質を検出できる抗体を得たが、成獣脳でSulf1タンパク質を検出することが出来なかった。そこで、モノクローナル抗体のスクリーニングを行ったが、免疫染色に使える抗体は得られなかった。今後、行動異常発現のメカニズムを分子・細胞レベルで調べる必要があるが、Sulf1を介したヘパラン硫酸の構造形成が高次脳機能の制御に重要な役割を担うことを明らかにすることができた。
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[Journal Article] Autotaxin is required for the cranial neural tube closure and establishment of the midbrain-hindbrain boundary during mouse development.2011
Author(s)
Koike, S., Yutoh, Y., Keino-Masu, K., Noji, S., Masu, M., Ohuchi, H.
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Journal Title
Dev.Dyn.
Volume: 240
Pages: 413-421
Peer Reviewed
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