2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経極性形成を引き起こす新規分子Shootin1の分子作用機構と脳内機能の解析
Project/Area Number |
20300111
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
稲垣 直之 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 准教授 (20223216)
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Keywords | 神経細胞 / 極性 / 軸索 / 樹状突起 / Shootin1 / L1 / アクチン / 成長円錐 |
Research Abstract |
神経細胞は1本の軸索と複数の樹状突起を形成し極性を獲得する。神経極性は、神経細胞の基本的な機能であるシグナルの入出力や統合に重要な役割を果たす。最近の数多くの報告から、細胞内におけるシグナルの非対称性が培養海馬神経細胞の極性を形成することが明らかとなりつつある。しかし、このようなシグナルの細胞内における非対称性がどのような分子メカニズムで生じるかという問題は大きな謎である。最近、我々は新規神経極性形成タンパク質Shootin1を見出した。Shootin1は神経細胞内における最初の非対称性のシグナルの形成に関与する重要な分子である可能性が示唆された。本研究では、このShootin1による軸索形成作用の分子メカニズムおよび極性形成過程における非対称シグナル形成のメカニズムの解明を行う。昨年度までの研究により、Shootin1が「クラッチ分子」としてアクチンフィラメントと細胞接着分子L1とを連結することにより軸索伸長のための牽引力を生み出すことがわかった。本年度は、Shootin1とアクチンフィラメントとの相互作用を介在する第2の「クラッチ分子」の探索を行った。免疫沈降法を用いて、種々のアクチンフィラメント結合タンパク質をスクリーニングしCortactinを同定した。CortactinはShootin1と直接結合し、また内在性のCortactinとShootin1も結合することがわかった。 CortactinとShootin1は軸索先端でアクチンフィラメントと共局在し、細胞内1分子計測による解析の結果、両分子ともアクチンフィラメントと相互作用することが解った。さらに、In vitro actin sedimentationassayを行った結果、Shootin1とアクチンフィラメントは直接結合しないがCortactin存在下で両分子が結合することがわかった。以上の結果から、CortactinがShootin1とアクチンフィラメントとの相互作用を介在する第2の「クラッチ分子」として機能する可能性が示唆された。
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Research Products
(9 results)