2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20300112
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宋 文杰 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 教授 (90216573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 和也 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (20301997)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
大脳皮質聴覚野はげっ歯類から霊長類まで複数の領野から構成されており、それぞれの領野が特定の聴覚機能を担っていると考えられるが、どの領野がどのような機能を担っているかは不明である。我々はモルモットの大脳皮質聴覚野を光イメージングの手法で調べ、新規の領野を含む複数の領野の存在を明らかにした。本研究では、各領野の機能的な特徴を探索することを研究目的としている。昨年度より、光イメージング技術の改善により、大脳皮質より単一試行でイメージングができるようになった。それにより、一次聴覚野の周波数分解能を情報論的なアプローチにより調べ、神経活動による周波数弁別能は8kHz付近では7%前後であることを突き止めた。行動レベルでモルモットがどのような周波数弁別能をもつかは不明なため、行動学習実験により、周波数弁別能を調べた。その結果、8kHz付近では5%前後の弁別能をもつことが明らかどなった。一次聴覚野の神経活動から得られる周波数分解能が行動レベルのものより低いことは、一次聴覚野の神経活動に詳細な周波数情報を持つが、光計測で得られた信号に依然ノイズの影響があることが示唆された。一方、これらの研究を行うと同時に、モルモットと同じげっ歯類に属し、遺伝学的な操作が比較的容易であるマウスの聴覚皮質における光イメージングの研究を開始した。マウスでは、モルモットに比べ、より強い信号が計測できることが分かり、聴覚野全体をイメージングしたところ、これまでに報告されてきている聴覚野の吻側部に新しい領野の存在を明らかにした。今後、モルモットとマウスそれぞれにおける知見をフィードバックしながら、各領野の機能、特に多種感覚の相互作用に力点を置きながら研究を進めていく計画である。
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