2008 Fiscal Year Annual Research Report
受容体型プロテインチロシンホスファターゼPtproの統合的解析
Project/Area Number |
20300113
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
新谷 隆史 National Institute for Basic Biology, 統合神経生物学研究部門, 助教 (10312208)
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Keywords | チロシンホスファターゼ / 神経回路形成 / チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
本研究においては、遺伝子改変マウスを用いてPtproの神経系における生理機能を明らかにするとともに、Ephとの相互作用についての詳細な解析と、Ptproの新規基質分子の同定を行うことにより、Ptproが神経系で機能する仕組みを統合的に明らかにすることを目指す。 本年度は、Ptproの神経回路形成における役割について、遺伝子欠損マウスを用いて明らかにすることを試みた。投射の完成した生後一週間のPtpro遺伝子欠損マウスの網膜の一部を蛍光色素で微量標識し、脳への投射形成異常について野生型のマウスとの比較解析を行ったが、大きな異常は観察されなかった。他のマウスの解析報告から、投射形成途中における異常の可能性が考えられたため、現在この解析を進めている。さらに、発生期における網膜神経細胞の自発的発火に異常があるアセチルコリン受容体β2の遺伝子欠損マウスとの二重遺伝子欠損マウスを作出し、自発発火が欠損した状態でのPtpro遺伝子の欠損の影響の解析を進めている。 受容体型PTP(RPTP)は受容体型PTK(RPTK)を基質とし、その活性を制御していることが申請者らの研究により明らかになって来た。PtproはEph以外のRPTKを基質としている可能性が考えられる。そこでPtproが他のRPTKを基質としているかを明らかにするために、基質トラップ変異体を用いたMammalian two-hybrid法により様々なRPTKとの相互作用について解析を行った。その結果、PtproがEph以外の複数のRPTKを基質とすることが明らかになった。またPtproが属するRPTPのサブファミリーの他のメンバーも同様にこれらのRPTKを基質とすることが明らかになったことから、このサブファミリーのRPTPは共同して複数のRPTKの活性制御を行っていることが示唆された。
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