2009 Fiscal Year Annual Research Report
受容体型プロテインチロシンホスファターゼPtproの統合的解析
Project/Area Number |
20300113
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
新谷 隆史 National Institute for Basic Biology, 統合神経生物学研究部門, 助教 (10312208)
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Keywords | チロシンホスファターゼ / 神経回路形成 / チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
本研究においては、遺伝子改変マウスを用いてPtproの神経系における生理機能を明らかにするとともに、Ephとの相互作用についての詳細な解析と、Ptproの新規基質分子の同定を行うことにより、Ptproが神経系で機能する仕組みを統合的に明らかにすることを目指す。 本年度も昨年度に引き続き、Ptproの神経回路形成における役割について遺伝子欠損マウスを用いて明らかにすることを試みた。複数の行動学的解析を行った結果、感覚受容及び記憶・学習行動において、Ptpro遺伝子欠損マウスと野生型マウスとの間に明確な差異があることが明らかになった。また、電気生理学的解析によってもPtpro遺伝子欠損マウスのシナプス伝達や可塑性について、野生型マウスとの差異を認めた。現在、さらに詳細な行動学的解析並びに電気生理学的解析を行っている。また、Ptpro遺伝子欠損マウスにおいて認められた異常について、その分子機構を明らかにするために、シナプスに分布する分子や情報伝達分子について、Ptpro遺伝子欠損マウスと野生型マウス間の比較解析を行っている。その結果、いくつかの分子について差異を検出している。 一方、PtproはEph以外のRPTKを基質としている可能性が考えられたため、基質トラップ変異体を用いたMammalian two-hybrid法により様々なRPTKとの相互作用について解析を行った。その結果、PtproがEph以外の複数のRPTKと相互作用することが明らかになった。培養細胞の共発現系を用いた解析から、PtproはこれらのRPTKを基質とすることが明らかになった。生体内におけるこれらのRPTKとPtproの発現パターンを明らかにすると共に、神経突起伸長に対する両者の相互作用の生理的な意義を明らかにした。
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