2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ嗅覚系の神経回路網形成・機能構築原理の統合的解明
Project/Area Number |
20300117
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉原 良浩 The Institute of Physical and Chemical Research, シナプス分子機構研究チーム, チームリーダー (20220717)
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Keywords | 嗅覚系 / 神経回路網 / ゼブラフィッシュ / 嗅上皮 / 嗅球 / 僧帽細胞 / トランスジェニック / 手綱核 |
Research Abstract |
嗅覚系は物体から発せられる匂い分子を受容し、その情報を鼻から脳へと伝え、匂いのイメージを脳内に表現・創造・記憶あるいは快・不快の感情を誘起させる神経システムである。本課題では、遺伝学・発生工学・in vivo蛍光可視化などの技術が利用可能なモデル脊椎動物としてのゼブラフィッシュの利点を最大限に活用し、嗅覚神経系の回路形成・機能構築原理の統合的解明を目指して研究を行っている。同じ種類の嗅覚受容体を発現する嗅細胞は、その軸索を嗅球の特定の糸球へと投射する。すなわち、嗅上皮で受容された匂い情報は、糸球の配置によって規定される「匂い地図」として嗅球表面に表現される。一方、嗅球から高次嗅覚中枢への匂い情報の伝達様式は未だ明らかにされていない。嗅球よりさらに高次の嗅覚中枢を解析するためには、僧帽細胞で特異的に機能する遺伝子発現プロモーターを利用して、各種レポーターや機能分子を発現させる手法が有効である。平成20年度の研究により、ゼブラフィッシュ嗅球の一部のタイプの僧帽細胞において再現性良く機能する遺伝子発現プロモーターAの単離、さらには僧帽細胞でYFPを発現するトランスジェニックゼブラフィッシュの作製に成功した。その結果、嗅球ニューロンの軸索は両側の終脳に対称に投射するが、一部の軸索はさらに伸長して、視床上部の手綱核を左右非対称に神経支配することが明らかとなった(J.Neurosci.投稿中)。
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Research Products
(10 results)