2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ嗅覚系の神経回路網形成・機能構築原理の統合的解明
Project/Area Number |
20300117
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉原 良浩 独立行政法人理化学研究所, シナプス分子機構研究チーム, シニア・チームリーダー (20220717)
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Keywords | 嗅覚系 / 神経回路網 / ゼブラフィッシュ / 行動 / 遺伝学 / 嗅覚誘引行動 / 警報フェロモン / 性フェロモン |
Research Abstract |
嗅覚系は物体から発せられる匂い分子を受容し、その情報を鼻から脳へと伝え、匂いのイメージを脳内に表現・創造・記憶あるいは快・不快の感情を誘起させる神経システムである。本研究では、遺伝学・発生工学・in vivo蛍光可視化などの技術が利用可能なモデル脊椎動物としてのゼブラフィッシュの利点を最大限に活用し、以下の3つの大項目について解析を行った。(1)嗅覚神経回路網形成の分子・細胞メカニズムの解明、(2)高次嗅覚中枢における匂い情報コーディング原理の解明、(3)特定の嗅覚行動の発現に結びつく嗅覚神経回路素子の同定。昨年度、私たちは、Tol2トランスポゾンを利用したジーントラップ法により、一部の嗅覚神経系ニューロンにGAL4を発現するトランスジェニックゼブラフィッシュ16系統を樹立した。さらに、アミノ酸への誘引行動(好き反応)を定量的かつ再現性良く解析できる行動実験システムを確立して、上記の様々なGAL4発現系統における遺伝学的神経伝達遮断技術を組み合わせることにより、アミノ酸への誘引反応を制御する一次嗅覚神経回路の実体を明らかにした(Koide et al.PNAS 2009)。平成22年度においては、アミノ酸への誘引行動に加えて、嗅覚忌避行動および性行動の解析を行った。ゼブラフィッシュ皮膚抽出物に含まれる警報フェロモンに対する魚の忌避反応(burst swimming, freezingなど)、卵巣抽出物に含まれる性フェロモンに対する雄ゼブラフィッシュの性行動(attraction, shoalingなど)を半自動的に解析できる行動実験システムを確立した。またこれら匂い刺激(アミノ酸、警報フェロモン、性フェロモンなど)によって、異なったタイプの嗅細胞が活性化し、嗅球の特異的な糸球体へと興奮を伝達することを見出した。
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Research Products
(10 results)