2010 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄再生に対する細胞移植の効果とそのメカニズム-形態学的解明と有効因子の解析-
Project/Area Number |
20300122
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Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
井出 千束 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (70010080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 法彦 藍野大学, 医療保健学部, 准教授 (40322721)
山田 義博 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (30252464)
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Keywords | 神経再生 / 移植・再生医療 / 脊髄再生 / 再生医学 / 栄養因子 / 骨髄間質細胞 / 細胞移植 |
Research Abstract |
1. 亜急性期および慢性期の脊髄損傷に対する骨髄間質細胞の移植効果を調べた。生後6週のラットの脊髄に挫滅損傷を与え、損傷後1週から4週のラットに対して細胞移植を行った。移植細胞は培養骨髄間質細胞で、移植は脊髄損傷部内ではなく、第4脳室からの注入(髄液内移植)である。損傷1週後のラットは亜急性期、2週後は亜急性~慢性期、そして4週後は慢性期と看做した。 注入は、10^5~10^6個の細胞を1回/日で3回行った。細胞注入後から毎週ラットの歩行の観察を行い、BBBによって行動の回復を調べた。最終回の細胞移後4週で灌流固定をして組織を調べた。 1週後から細胞移植を始めた群(亜急性)のBBBは、対象が0~1、移植群が10、2週後から始めた群(亜急性~慢性)では対象が2、移植群が11、4週後から始めた群(慢性期)では、対照が4,移植群が11であった。これは明らかな回復である。組織学的には、再生軸索が損傷部内を頭尾方向に伸びており、これらの再生軸索内にはCGRPおよびserotonin作動性線維が多数みられた。これは先の急性期での細胞移植実験の結果と同じである。このことは、亜急性~慢性期でも骨髄間質細胞の髄液経由移植が有効であることを示している。同じ様に骨髄から採取した単核球の移植効果を調べ、同様の効果が認められた。これは、骨髄から分離した細胞を、培養を経ないで移植する効果を示したもので、臨床応用への道が拓けたことになる。 2. 培養上清に含まれると考えられる有効成分が漸く掴めつつある。培養上清の特定の分画に海馬ニューロンの生存維持と突起伸長を促す分子があることが分かってきた。この効果を持つ分子は、恐らく未知の分子と考えられ、現在特許申請中である。この分子を髄液あるいは静脈内に注入する方法で、臨床的な応用を探索する。
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Research Products
(8 results)