2011 Fiscal Year Annual Research Report
シヌクレイノパチーに特異的な蛋白分解異常:ナブオパチーの提唱と分子病態解明
Project/Area Number |
20300123
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
若林 孝一 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50240768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹治 邦和 弘前大学, 大学院・医学研究科, 助教 (10271800)
森 文秋 弘前大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (60200383)
小田桐 沙織 弘前大学, 大学院・医学研究科, 助手 (80374817)
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Keywords | 脳神経疾患 / 神経科学 / 病理学 |
Research Abstract |
オートファジーの機能不全マウスでは、ユビキチン陽性封入体を伴う神経変性をきたし、運動失調から死に到ることから、神経細胞の機能維持には恒常的なオートファジーの働きが必須であることが示唆される。今年度はオートファジーの初期段階に形成されるオートファゴソーム膜の構成タンパク質についてレビー小体病および正常対照で比較、検討を行った。 パーキンソン病(PD)5例、レビー小体型認知症(DLB)5例および正常対照5例の前頭葉、側頭葉、基底核、視床、.中脳、橋、延髄および小脳のホルマリン固定パラフィン切片を用い、オートファゴソーム膜構成タンパク質(LC3、GABARAP/GABARAPL1、GATE-16)に対する免疫組織化学的検討を行った。また、DLB5例および正常対照5例の凍結脳組織(側頭葉皮質)を用い生化学的検討を行った。 正常対照脳では神経細胞の胞体が淡く、びまん性に染色された。一方、PDおよびDLBでは脳幹型および皮質型レビー小体が強く染色された。さらに、GABARAP/GABARAPL1のタンパク質量は正常対照と比較しDLBで有意に減少していた。さらに、ショ糖密度勾配遠心による分画においてDLBではLC3は高密度から低密度の全分画から抽出されたが、正常対照では低密度分画にのみLC3が認められた。一方、GABARAP/GABARAPLlおよびGATE-16においては、正常対照とDLBでは差は認められなかった。 PDおよびDLBでは、オートファゴソーム膜の形成およびオートファジーの機能にも影響を及ぼしている可能性が示唆される。さらに、DLBにおいてLC3のみがショ糖密度勾配分画による変化を示した。LC3は細胞骨格タンパク質と結合能を有していることから、PDおよびDLBでは軸索輸送の障害が惹起されている可能性がある。
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