2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20300129
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鹿川 哲史 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 准教授 (50270484)
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Keywords | グリア細胞 / シナプス形成 / 神経回路網 / 発生 / アストロサイト |
Research Abstract |
アストロサイトは脳中枢神経系の活動を支える多様な役割を担っている。その発生様式についてはよく調べられておらず、一個のアストロサイトが多機能なのか、それぞれの機能を担う多種類のアストロサイト亜集団細胞系譜が存在するのかは興味深い研究課題である。申請者は、脳の各領域の神経前駆細胞由来のアストロサイトがサブタイプ細胞系譜に分類できるのではないかという作業仮説を立て、GFAP/Creレポーターマウスを作製した。このマウスを用いるとCreリコンビナーゼ遺伝子を大脳各領域特異的に発現させることで、各領域の神経前駆細胞由来のアストロサイトサブタイプ細胞系譜をGAP43-GFP陽性細胞として同定することが出来る。本年度は、理化学研究所糸原、岩里両博士より頂いたEmx1-Creマウス、および生理学研究所竹林博士が作製したOlig2-CreERマウスと交配し、組換えを誘発したGFAP/Creレポーターマウス脳におけるからGFP陽性細胞の分布を詳細に解析した。その結果、大脳の脳梁近傍に存在する正中線グリア細胞はEmx1陰性神経前駆細胞に由来することが判明した。正中線グリア細胞は脳梁形成に必要とされるSlitやWntリガンドを放出し回路形成を誘導する特殊な機能を持ったグリア細胞である。正中線グリア細胞が周囲のアストロサイトと異なる発生起源を持つことは、我々の作業仮説が正しいことを示唆している。現在、Emx1陽性前駆細胞由来のアストロサイトをセルソーターを用いて回収しマイクロアレイ解析すべく成体脳から細胞を調整する方法を検討している。また、Olig2-Creマウスと交配したGFAP/Creレポーターマウスのアストロサイトがほぼ全てOlig2陽性細胞由来であった。発生脳切片と初代培養系を用いた実験から、アストロサイトの成熟過程でOlig2遺伝子が一過性に発現することを明らかにした。
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Research Products
(9 results)