2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20300129
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鹿川 哲史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (50270484)
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Keywords | グリア細胞 / シナプス形成 / 神経回路網 / 発生 / アストロサイト |
Research Abstract |
アストロサイトは脳中枢神経系の活動を支える多様な役割を担っている。しかし、その発生様式はよく調べられておらず、一個のアストロサイトが多機能なのか、それぞれの機能を担う多種類のアストロサイト亜集団細胞系譜が存在するのかは興味深い研究課題である。申請者は、脳の各領域の神経前駆細胞由来のアストロサイトを亜集団細胞系譜に分類できるのではないかという作業仮説を立て、GFAP/Creレポーターマウスを作製した。このマウスを用いるとCreリコンビナーゼ遺伝子を大脳各領域特異的に発現させることで、各領域の神経前駆細胞由来のアストロサイトサブタイプ細胞系譜をGAP43-GFP陽性細胞として同定することが出来る。このマウスをEmxl-Creマウスを交配し、産仔の大脳皮質と海馬からそれぞれアストロサイトをセルソーターで回収した。それぞれより調整したRNAを2回増幅し、マイクロアレイ解析を行った。RNAの非特異的な増幅によるノイズを除くため、大脳皮質アストロサイトで発現していた遺伝子のうち上位25%について海馬アストロサイトと比較したところ5倍以上の発現上昇を示した遺伝子数は592個、海馬アストロサイトにおける発現遺伝子上位25%のうち大脳皮質アストロサイトに比して5倍以上の発現レベルを示した遺伝子は499個であった。発現量に違いのあった遺伝子の中には特異的な神経軸索伸長を促進する液性因子なども含まれており、各領域に特異的なアストロサイトの機能が同定された。同様に、大脳皮質及び海馬から得られたアストロサイトを初代培養して同等の環境に置くことで細胞の性質に変化し、類似の性質を示すよう変化するかを検討した。前述の生体アストロサイトのアレイを加えた4サンプルのマイクロアレイ解析の比較から、各脳領域のアストロサイト機能の違いがそれぞれの細胞系譜の違いに由来するのか、アストロサイトの機能的可塑性によるものか明らかになると期待される。
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Research Products
(8 results)