2010 Fiscal Year Annual Research Report
ルールに基づいた行動選択における大脳皮質・基底核ループの役割
Project/Area Number |
20300136
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 真樹 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90301887)
|
Keywords | 大脳皮質 / 眼球運動 / 神経活動 / 行動選択 / 大脳基底核 / 霊長類 / 神経生理学 / 運動性視床 |
Research Abstract |
大脳皮質-基底核-視床-大脳皮質で構成される回路は、状況に応じた行動選択や衝動行動の抑制に関与しており、その神経機構の詳細を明らかにすることは統合失調症や注意欠陥多動性障害、パーキンソン病など多くの精神神経疾患における行動異常を理解する上で重要である。前年度に引き続き、本研究では眼球運動課題(anti-saccade課題)を訓練したサルをもちいた神経生理・薬理学実験をおこなった。 運動性視床の実験に関しては、すでに昨年度報告した、不活化によって課題ルールの錯誤と考えられるエラーを生じる部位を同定するために、ルールを複数試行にわたって記憶しておく必要のある新たな課題をサルに訓練し、視床背内側核の不活化実験を進めている。また、これと並行して、同課題での線条体ニューロンの活動を調べており、まだ数は少ないものの、anti-saccadeで強い増強を示すものがあることを確認している。今年度は大学院生と共に行ってきた視床に関した研究成果を英文原著論文にまとめ、さらに今まで行ってきた研究と併せて和文および英文総説論文にまとめた。現在、もう一報の英文総説を執筆中である。また、自発性眼球運動のタイミングにおける前頭葉背内側部の関与を調べた刺激実験を英文原著論文として準備中である。今後は大脳皮質一基底核ループでの情報処理を生理学薬理学の手法によって解析するとともに、放射線の深部照射や神経毒の注入による疾患モデルを作成し、その行動評価を試みる予定である。
|