2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20300138
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
桜井 正樹 帝京大学, 医学部, 教授 (30162340)
|
Keywords | 皮質脊髄路 / シナプス除去 / 運動感覚皮質 |
Research Abstract |
神経終末から選択的に取り込まれるとされるRetroBeadsを第7頚髄の灰白質に限局して注入し、この単一髄節に投射する皮質細胞を標識すると生後7日齢(P7)では運動感覚皮質ほぼ全体という、従来の体部位局在の考えからは想像できない位広い領野が標識された。成体で同じ実験を行うと、標識される細胞密度が全体に低下するため、一見限局しているようにも見えるが、広がりには大きな変化がないと考えられた。 P7で標識し、成体になってから固定を行い標識細胞の分布をみると、P7注入→幼若時固定の結果と大きな変化がなく、この細胞数の低下が細胞死によるものではなく、軸索除去によるものであることが示唆された。頚髄C7と腰髄L4の二重標識を行うと、P7ではL4投射領域はC7投射領域に包含されるような分布であった。また、C7では発達により投射細胞が激減するが、L4ではそれほど大きな変化はみられず、発達期の活動依存的な可塑的過程は上肢支配領域に圧倒的に強いことがわかる。 また驚くべきことに、単一細胞レベルでC7とL4両者に投射している細胞がP7のみならず成体でも見出された。このような投射細胞はこれまで記載されておらず、皮質脊髄路の機能を考える上で重要な所見である。 げっ歯類では皮質脊髄路線維は運動ニューロンに直接シナプスしないという。我々が研究してきた発達期における脊髄腹側からのシナプス除去を考えると幼若期には一過性の直接シナプス接続がある可能性もある。運動ニューロンを筋から逆行性に蛍光標識し、スライスを作成して、皮質脊髄路(後索)を刺激すると単シナプス性のEPSPsを記録できた。このような細胞は上肢筋支配運動ニューロンに限定され、体幹筋、肢帯筋支配運動ニューロンには存在しなかった。このタイプの運動ニューロンは細胞同定が容易なため、発達期のシナプス除去の研究に役立つことが期待される。
|
Research Products
(7 results)