2011 Fiscal Year Annual Research Report
セロトニン・アセチルコリン・ドパミンネットワークによる報酬・嫌悪情報処理機構
Project/Area Number |
20300139
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中村 加枝 関西医科大学, 医学部, 教授 (40454607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 康 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (60311198)
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Keywords | ドパミン / アセチルコリン / セロトニン / 脚橋被蓋核 / 縫線核 / 霊長類 |
Research Abstract |
[目的] 報酬予測誤差をコードするとされるドパミン細胞にはアセチルコリン性細胞がある脚橋被蓋核(PPTN)とセロトニン細胞がある背側縫線核(DRN)の投射がある。このPPNとDRNが単一神経細胞レベルでどのような報酬情報を計算しているかを眼球運動課題および古典的条件付け課題を訓練したサルを用いて調べた。 [結果:DRN](1)計測した細胞の1/3近くが、報酬と嫌悪情報をコンテキストとしてコードしていた。すなわち、具体的な条件刺激が呈示される前から、持続的な発火頻度を変化させた。(2)条件刺激,無条件刺激への反応は報酬関係の刺激に対して反応するもののほうが嫌悪情報刺激への反応を示すものより多かった。また、報酬への反応は、報酬確率によってドパミン細胞と同様の変化を示すものが多数みられた。[結果:PPTN](1)PPTNニューロンの発火頻度は「報酬の予測」、「実際に与えられた報酬」のどちらかの情報に関与する。さらに、スパイクの時間間隔などの活動ダイナミクスもこれらの情報によって変化することを見出した。(2)また、当初意図していなかった研究成果が得られた。我々が眼を動かしているとき視覚入力が予測的にシャットアウトされるというサッケード抑制という現象が主に視覚野において知られているが、PPTNがこのサッケード抑制に重要な働きを及ぼすことが判明した。[考察]以上のことからPPTNおよびDRNからは異なる種類の報酬関連情報がドパミン細胞に提供され、報酬予測誤差の計算過程、様々な行動発現に寄与している可能性が示唆された。
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Research Products
(15 results)