2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20300140
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
関 和彦 National Institute for Physiological Sciences, 発達生理学研究系, 助教 (00226630)
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Keywords | サル / 随意運動 / 脊髄反射 |
Research Abstract |
本年度の第一の目的はネコ後肢において確立された脊髄ニューロン同定法の妥当性をサル上肢を対象とした急性実験で再検討する事であった。そのため、2頭の頸髄と腰髄を対象に急性実験を行った。両部位の特徴を把握するため、今年度は微小電極を複数当該領域に埋め込み、それに電気刺激を与えることによって誘発される筋活動を比較した。つまり、サルの脊髄にあり指の動きを制御する部分に直径30μmの電極を刺入し、指の運動を観察した。数ミリ秒の間隔をあけて60μAの電流を流すと、同時に流した場合より指の運動を誘発する閾値が四分の一にまで低下した。また、多数の電極において同様な実験を行うと、脊髄の吻側-尾側方向において上記の効果を誘発する特定の組み合わせが存在することが明らかになった。このような神経刺激効果の非線形的加重は大脳皮質においては報告がなく、脊髄固有の性質に由来すると考えられた。通常は神経組織を電気刺激すると電極近傍の組織が損傷するため、効果が薄れてより強い電流を流さなければならなくなる。従って、より弱い電流で大きな反応を引き出す必要があった。本方法は脊髄損傷で動かなくなった手指の機能の再現するためのブレイン・マシン・インターフェースの開発に役に立つと期待される一方、本プロジェクトにおいてサル上肢を対象としたニューロン同定方法を確立するための基盤データとなりうる知見である。その他、筋神経入力に対するシナプス前抑制の随意運動中の変動を計測する実験をサル1頭について行い、現在精力的にデータ解析を進めている。
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Research Products
(6 results)