2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20300140
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
関 和彦 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所モデル動物開発研究部, 部長 (00226630)
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Keywords | 反射 / 脊髄 / 随意運動 / 霊長類 / 電機生理 |
Research Abstract |
本年度は実験計画の最終年度であった。今年度は反射回路へのシナプス前抑制が筋神経と皮膚神経でどのように異なるかを明らかにするために実験を行った。1頭のサルを対象に次のような行動訓練を行なった。 まずサルをシールドルーム内のモンキーチェアに座らせ、左腕はチェアー内に、右肘はタスク制御装置に取り付けられた肘固定台にそれぞれ固定すした。その後、サルに前年度開発したマニピュランダムを操作できるよう訓練し、次に運動中に与えられる刺激に適応させる。その後、運動課題が十分に訓練された段階で(1)頭部の動きを制限するための固定具、(2)前腕筋群の活動を記録するための筋電図電極、(3)末梢求心神経を刺激するためのカフ電極、および(4)脊髄からニューロン活動を記録するためのチェインバー、をそれぞれ外科的手術によってそれぞれ装着した。筋電図は前腕部及び手部の12以上の筋に、またカフ電極は皮膚神経(橈骨神経浅枝(SR))、筋神経(橈骨神経深枝(DR))、及び混合神経(正中神経)にそれぞれ一つずつ装着した。サルが外科的手術から回復後、サルに行動課題を繰り返し行わせ、その際、興奮性試験を行い、筋神経・皮膚神経経由の反射回路に下降路からどのようなシナプス前抑制を用いた修飾がもたらされているのかについて調べた。その結果、皮膚神経へのシナプス前抑制は動的運動時、運動の方向(屈曲または伸展)に依存せず一様に増大していた。一方、筋神経へのシナプス前抑制は静的筋収縮時に減少する傾向があった。この結果は、下降路が皮膚神経及び筋神経からの入力を異なった戦略で修飾しており、それがシナプス前抑制を用いて行われていることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)