2008 Fiscal Year Annual Research Report
心臓洞房結節特異的イオンチャネルHCN4の発現制御機構の解明と再生心筋への応用
Project/Area Number |
20300141
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
鷹野 誠 Jichi Medical University, 医学部, 教授 (30236252)
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Keywords | 生理学 / 発現制御 |
Research Abstract |
HCN4チャネル遺伝子は、心臓洞房結節に特異的に発現する分子マーカーとして近年非常に注目を集めている。この部位特異的な発現パターンを制御する分子機構を明らかにするために、HCN4遺伝子座の非翻訳領域の中から、種を超えて配列が保存されている部位を16箇所同定し、それらの転写活性を検討した。 その結果、第一イントロンの中にHCN4最小プロモーターに対して極めて強い活性化作用をもつエンハンサーが存在することを発見した。このエンハンサーには筋特異的転写因子MEF2およびAPIの結合部位が存在した。これらの部位に変異を導入するとエンハンサー活性は完全に消失した。次にMEF2のDNA結合に抑制性転写因子Engrailedのrepressor domainを連結した優性抑制変異体dnMEF2を作製した。dnMEF2はエンハンサー活性を完全に抑制した。さらに受精後12日目のラット胎児心臓のinflow tractから単離した培養心筋細胞において、dnMEF2はHCN4のmRNA発現量、蛋白質発現量および電流量を有意に減少させた。 これらの結果からMEF2はHCN4の転写を直接制御する転写因子の一つであることを初めて報告した。 このエンハンサーを使ってLacZ遺伝子を発現するトランスジェニックマウスの胎児を作製した。しかしながら、LacZ遺伝子は洞房結節に一致した発現パターンを示すことはなかった。HCN4の洞房結節特異的発現パターンはMEF2に加え、さらに複数の転写因子の関与が示唆された。来年度以降はこの点をさらに詳細に検討していきたい。
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Research Products
(2 results)