2009 Fiscal Year Annual Research Report
幼児から小児心疾患治療のための機械的循環補助システム開発に関する総合的基礎研究
Project/Area Number |
20300154
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高谷 節雄 Tokyo Medical and Dental University, 生体材料工学研究所, 教授 (40154786)
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Keywords | 小児心不全 / 小児血液ポンプ / 遠心血液ポンプ / 左心補助 / 小児膜型人工肺 / 生体適合性 |
Research Abstract |
当研究室で開発を進めている遠心血液ポンプTinyPumpは、充填血液量が5cc、毎分0.2~1.5リッターの低流量制御が可能な小児用遠心血液ポンプである。平成21年度は、TinyPumpの生体適合性の評価を、体重10-15Kgの12頭のシバヤギを用い行った。実験は、ガス麻酔下、左第5肋間開胸にて、22Frの脱血管を左心心尖部に挿入し、内径6mmの人工血管を下行大動脈に吻合下後、体外に置かれたTinyPumpに接続し、循環補助を開始した。閉胸後、覚醒し、ICUにて術後管理した。計測は、動脈圧、中心静脈圧、ポンプ流量、ポンプ回転数等を連続モニターした。また、定期的に血液をサンプルし、生化学検査を行い、腎肝機能の評価並びに凝固系の変化を追った。術後一週間は、ヘパリンの持続投与により、Activated clotting time(ACT)を180-220秒に維持し、その後、ワーファリンの経口投与により行った。 当初は、インペラーを支持する軸受部における血栓形成に起因する溶血が進行し、血中ヘモグロビン量の低下による貧血、並びに腎臓障害等により、長期生存は困難であった。そこで、数値流体解析(Computational Fluid Dynamics CFD)法により、軸受部流体隙間におけるせん断応力並びに軸受部を通る2次流れ量の推測を行った結果、150ミクロンの流体隙間を有する軸受で、満足する結果が得られた。また、トップハウジングの高さ、磁気カプリングカの強化を図った。 結果、150ミクロンの流体隙間を有する軸受により、3頭1週間の生存が可能になった。また、術後管理法の改善、脱血管の改良を行うことで、安定したヘモグロビン量、毎分1リッターの流量を維持することが可能となり、21年度の後期には、2頭2週間の生存が可能になった。現在更なる、ポンプの改良を行い、1ヶ月の安定した循環補助を目指している。
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