2008 Fiscal Year Annual Research Report
心室壁の不均一性に基づく心筋分子モータ挙動と興奮収縮連関の統合的解析
Project/Area Number |
20300162
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
清水 壽一郎 Nara Medical University, 医学部, 准教授 (80294403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 都 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00033358)
三澤 裕美 奈良県立医科大学, 医学部, 教務職員 (50281275)
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Keywords | SPring-8 / X線回折 / 心臓 / 左心室自由壁 / アクチン / ミオシン / クロスブリッジ / ラット |
Research Abstract |
ラット摘出心標本を用いたX線回折実験にて、低酸素灌流時の左心室圧低下について前負荷が及ぼす影響について解析を行った。正常酸素灌流時には前負荷の増大に伴い左心室発生圧は有意な増大傾向を示し、Frank-Starlingの法則が成り立つことを確認した。一方、低酸素灌流時では、前負荷が低いときには正常酸素灌流時と同じ程度の左心室発生圧とクロスブリッジの形成が認められたが、前負荷が増大すると左心室発生圧の低下およびクロスブリッジ形成量の減少が観察された。このときも、心筋線維のカルシウム感受性を規定する因子の一つである心筋線維格子間隔は前負荷の増大により短縮する傾向を示し、低酸素灌流時のクロスブリッジ形成量の低下の原因が筋線維格子間隔には無いことを示した。一方、心筋スライス標本を用いた心筋細胞内カルシウム動態観察では、前負荷を増大させることはできないものの、カルシウムトランジェントの高さには有意差はないものの、持続時間は有意に延長していることが観察された。これは、心筋線維とカルシウムの作用時間の延長を示すが、一方で心筋線維のカルシウム感受性の低下により、細胞質カルシウム濃度の高値が宣戦している可能性もある。実際、低酸素環境下では無酸素環境下とは異なり細胞質pHの低下はそれほど強いとはいえず、それに伴うカルシウム感受性の変化も強くはないと考えられる。しかし、低酸素環境下で前負荷を増大させた場合、CPを有意に低下させ無機リン酸濃度が高まる可能性がある。これは、ミオシンATPaseやその他のATPase機能を抑制する可能性があり、低酸素灌流時に前負荷を増大させた場合に観察される左心室発生圧の低下およびクロスブリッジ形成量の低下は、無機リン酸の増大による可能性が高いことを示した。
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Research Products
(17 results)