2009 Fiscal Year Annual Research Report
心室壁の不均一性に基づく心筋分子モータ挙動と興奮収縮連関の統合的解析
Project/Area Number |
20300162
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
清水 壽一郎 Hiroshima International University, 保健医療学部, 教授 (80294403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 都 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00033358)
三澤 裕美 奈良県立医科大学, 医学部, 教務職員 (50281275)
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Keywords | SPring-8 / X線回折 / 心臓 / 左心室自由壁 / アクチン / ミオシン / クロスブリッジ / ラット |
Research Abstract |
ラット摘出心標本を用いたX線回折実験にて、心拍数が心筋アクチンミオシン相互作用へ及ぼす影響について解析を行った。ヒトなどでは心拍数の増大に応じて心筋発生張力が増強する、陽性階段現象が認められるが、ヒトの不全心筋や齧歯類などでは心拍数の増大により心筋発生張力は逆に減弱する陰性階段現象が認められる。これらの違いは一般に、心筋細胞内のカルシウム動態に預かるタンパクの違いによるものと考えられているが、アクチンミオシン相互作用の結果であるクロスブリッジの形成・解離の程度について解析を行った。深麻酔下にラットの心臓を摘出し、タイロード溶液で灌流した。左心室自由壁にX線ビーム(SPring-8、BL40XU)を入射し、得られたX線回折像を解析し、アクチンミオシン相互作用を推測した。その結果、心拍数の増大に応じて、収縮期左心室圧は有意に減少したが、拡張期左心室圧には有意な変化は認められなかった。一方、アクチンミオシン相互作用は、心拍数の増大に応じて収縮期には有意なクロスブリッジ形成量の低下が認められ、拡張期にも有意な残存クロスブリッジの増加が認められた。一方、心筋スライス標本を用いた心筋細胞内カルシウム動態観察では、刺激頻度の増加はカルシウムトランジェントの高さに有意差はないものの、持続時間は有意に短縮することが観察された。これは、心筋線維とカルシウムの作用時間の短縮を示すが、一方で心筋線維カルシウム感受性の増加により、細胞質カルシウム濃度が速やかに減衰する可能性もある。
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Research Products
(10 results)