2010 Fiscal Year Annual Research Report
マルチフォトン共焦点レーザー顕微鏡による蛍光分子糸球体機能解析
Project/Area Number |
20300163
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
仲本 博 川崎医科大学, 医学部, 助教 (10299183)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (10152365)
矢田 豊隆 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00210279)
|
Keywords | 腎症 / 可視化 / 糖尿病 / 共焦点顕微鏡 / 濾過 |
Research Abstract |
本研究の目的は、経時的に病態が糸球体濾過に及ぼす影響と、経時的に病態が尿細管再吸収に及ぼす影響を調べることであった。結果としては、大きな成果として糸球体濾過を可視化するだけでなく定量化することが出来た。このことによって、糖尿病の初期からアルブミン程度の分子量の物質がラットにおいて漏出していることが判明した。これは、対照群と糖尿病群と比較することで明らかとなり、薬物によって誘発したI型糖尿病ラットモデルにおいて、その漏出の程度は糖尿病の罹病期間に応じて経時的に進行することも明らかとなった。しかし研究期間中に、糖尿病早期ではこのような漏出した分子が尿細管で再吸収されていることが報告され、蛋白尿として表面化して明らかな慢性腎不全を呈するのは、もっと後のステージであるということが判明した。そこで、この比較的大きな分子の糸球体からの漏出のメカニズムを探索すべく、濾過の現象に最も深く関わる篩としての機能を果たす、スリット膜の構造を蛍光抗体染色によって調べた。すると、糖尿病誘発後2ヶ月ほどでスリット膜を構成する蛋白分子の配列に乱れが生じていることが分かった。さらに6ヶ月の糖尿病ラットモデルを用いると、スリット膜を構成するポドシンとCD2APは、均等に配列不正が生じるのではなく、それぞれが局所的に構造変化を来していることが判明した。更に、濾過のビデオ画像を解析してみると、その局所的な構造変化を反映して、濾過そのものが均等ではなく不均一になっていることも判明した。糖尿病に於いてこのような結果は、これまでに報告がなく、糖尿病腎症の初期のメカニズムの一端を解明したと云える。目下論文作成中である。
|
Research Products
(9 results)