2009 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸オクタカルシウム・コラーゲン複合体を基盤とした高機能骨再生材料の創製
Project/Area Number |
20300165
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鎌倉 慎治 Tohoku University, 大学院・医工学研究科, 教授 (80224640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越後 成志 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (70005114)
鈴木 治 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (60374948)
松井 桂子 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00302159)
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Keywords | 骨再生 / 骨代替材料 / 燐酸オクタカルシウム |
Research Abstract |
昨年度までの研究で小動物においては周囲を骨に囲まれた骨欠損部におけるリン酸オクタカルシウム・コラーゲン複合体(OCP/Col)の有効性が確認されたため、本年度は(1)小動物におけるOCP/Colによる骨造成(骨を盛り上げる)の可能性、(2)大型動物(イヌ)での骨欠損部における骨再生能を評価・検討した。 (1)始めに厚さの異なるOCP/Colをラット頭頂骨骨膜下に埋入し,術後4~12週後に摘出した.厚い試料(3mm厚)では埋入後早期から試料辺縁に多数の酒石酸耐性酸フォスファターゼ(TRAP)陽性多核巨細胞が多数観察され、OCP/Colの吸収が著明で新生骨の形成は少なかった。一方、薄い試料(1mm厚)ではTRAP陽性多核巨細胞は少なく,新生骨の形成が観察されたことから,OCP/Colによる骨造成には周囲のメカニカルストレスの関与が示唆された(Suzuki Y,et al.J Dent Res 88 : 1107-12. 2009)。そこでOCP/Colを骨膜下に埋入する際にOCP/Col周囲を高分子材料PTFEリングで囲むことでメカニカルストレスの緩和を図ったもの(徐圧群)についての骨再生を検討した。徐圧群では埋入12週後に新生骨の造成を確認することができ、メカニカルストレスの緩和によってOCP/Colによる骨造成の可能性が示唆された(Matsui A,et al.Tissue Eng Part A 16 : 139-51, 2010)。 (2)ビーグル成犬に頭蓋冠規格化骨欠損(20mmφ)を作製しOCP/Colディスクを埋入し術後3、6、12ヶ月に組織を摘出した(対照群はコラーゲンディスクを埋入)。X線学的にはOCP/Col埋入側は各期間において対照側に比べて明瞭なX線不透過性を示し、組織学的にもOCP/Col埋入側における新生骨の割合は対照側に比べて有意に多く、十分な骨再生を達成することが確認された(Kawai T, et al. Clin Oral Imp Res : in press, 2010)。ビーグル成犬に抜歯窩を作製し同部にOCP/Colディスクを埋入し(対照群は未処置)、術後1、3か月に組織を摘出した。X線学的所見ではOCP/Col埋入部の不透過性が経時的に亢進し、組織学的所見は、OCP/Colを核として形成された新生骨が成熟骨に置換していた。また模型形態分析では対照群と比較して有意に優れており、3次元的な骨再生が推察され、抜歯窩骨欠損部においてOCP/Colは優れた骨再生能を発揮し、その有用性が示唆された(Iibuchi S, et al. Int J Oral Maxillofac Surg 39 : 161-168, 2010)。
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Research Products
(6 results)