2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤伝達と腫瘍血管新生阻害効果を融合・活用した低侵襲化学粒子線治療技術の研究
Project/Area Number |
20300174
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺川 貴樹 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (10250854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒見 泰寛 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (90251602)
山崎 浩道 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (00166654)
田代 学 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 准教授 (00333477)
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Keywords | 粒子線治療 / 腫瘍血管標的 / 腫瘍増殖遅延 / PET |
Research Abstract |
本研究では、腫瘍への線量集中性、生物学的効果に優れた粒子線治療と、副作用が少なく腫瘍縮小効果の大きい腫瘍血管標的薬剤、さらに粒子線照射により薬剤投与を制御する放射線リリース型の抗癌剤内包マイクロカプセルのこれらの技術を相乗効果的に用いて、従来治療法に比べて低侵襲・高精度な化学粒子線癌治療法の開発を目的とする。 本年度は、繊維肉腫細胞を移植した担がんマウスを用いて、欧米にて第三相臨床試験中の腫瘍血管標的薬剤コンブレタスタチンA4誘導体(AVE8062)を併用した陽子線治療の動物実験を実施した。実験は、東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターの基礎研究用粒子線治療装置を用いて行われた。治療効果の比較のために、陽子線単独治療、AVE8062単独治療、両者の併用治療、および無治療のコントロールの治療グループを作成した。治療条件は、陽子線15Gy、または30Gy照射、薬剤40mg/kg投与、および陽子線15Gy照射の2時間後にAVE8062 40mg/kg投与の各種単回治療とした。治療後の腫瘍体積の測定から、併用治療群では陽子線単独治療群やAVE8062単独治療群に比べて腫瘍増殖が著しく抑制され、30Gy照射の陽子線単独治療群とほぼ同等の増殖遅延効果が確認された。さらに、超高分解能小動物用半導体PETカメラによる[^<18>F]FDG-PETスキャンで得られた腫瘍内糖代謝分布画像に基づいて治療効果を評価した。その結果、コントロール群と比べて、陽子線単独治療群では腫瘍内糖代謝の低下が少なく、またAVE8062単独治療群では糖代謝低下は一時的であり腫瘍再増殖に伴う腫瘍部へのFDG高集積が再び見られた。一方、併用治療群では腫瘍組織内のFDG集積の著しい低下とその持続が確認され、併用治療の優れた抗腫瘍効果が示唆された。
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Research Products
(8 results)