2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経インターフェイス技法にもとづく重症心不全治療法の開発
Project/Area Number |
20300177
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
佐藤 隆幸 Kochi University, 教育研究部医療学系, 教授 (90205930)
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Keywords | 循環器・高血圧 / トランスレーショナルリサーチ / 神経インターフェース |
Research Abstract |
目的:全く新しい治療戦略として、迷走神経の電気刺激による心不全治療法を提案し、実験的にその効果を検証する。また、本療法の作用機序をあきらかにし、治療プロトコールを最適化するために、本療法が不全心における機械的、電気的、および微小循環的リモデリングに与える影響を評価する。 方法:左冠状動脈起始部の結紮により、左室の40-50%が梗塞におちいった慢性心不全ラットの右迷走神経に刺激電極を固定し、植え込み型電気刺激装置と接続した。刺激強度は、心拍数が10-20%低下する程度にした。迷走神経刺激療法は6週間でうち切り、血行動態・心臓リモデリングに与える影響と140日間の長期生存率を観察した。 結果:(1)血圧は、梗塞後心不全群は、健常群に比べ、有意に低かった。梗塞後心不全群は、健常群に比べ、左室拡張末期圧の有意な上昇と左室圧一次微分最大値の有意な低下を示したが、迷走神経刺激療法により、左室拡張末期圧の有意な減少と左室圧一次微分最大値の有意な上昇が認められた。両心室重量が、梗塞後心不全群では有意な増加を示したが、迷走神経刺激療法により有意に減少した。以上の結果は、6週間の迷走神経刺激療法によってポンプ機能が改善し心室リモデリングが予防されたことを示唆する。(2)刺激群22例のうち死亡は3例、非刺激群30例のうち死亡は15例であった(P=0.008)。このように、迷走神経刺激療法は相対的死亡リスクを73%も減少させた。この効果は、アンジオテンシン変換酵素阻害薬によるものよりもさらに良好な成績であった。
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Research Products
(16 results)