2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経インターフェイス技法にもとづく重症心不全治療法の開発
Project/Area Number |
20300177
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
佐藤 隆幸 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (90205930)
|
Keywords | 循環器・高血圧 / トレンスレーショナルリサーチ / 神経インターフェース |
Research Abstract |
目的:全く新しい治療戦略として、迷走神経の電気刺激による心不全治療法を提案し、実験的にその効果を検証する。また、本療法の作用機序をあきらかにし、薬物によるVNS療法の代替療法を開発する。 前年度までの成果:1.VNSは、心筋細胞内のACh合成に関わる律速酵素コリンアセチルトランスフェラーゼを誘導した。2.VNSは、心筋細胞内のAChレベルを12時間以内に上昇させた。3.心筋細胞内のACh合成系を増強したマウスは、強い虚血耐性を示した。4.VNSと同様の効果をアセチルコリンエステラーゼ(ACh-E)阻害薬により再現できた。5.ACh-E阻害薬の中で、塩酸ドネペジルが最も強い心保護作用を示したが、その作用は、ニコチン受容体阻害薬、ムスカリン受容体阻害薬あるいは、両者の同時投与によっても抑制することができなかった。以上の結果から、VNSは、心筋細胞内のACh合成を誘導し、細胞内AChレベルを上昇させることによって、心保護作用を発揮する、また、塩酸ドネペジルは、ACh受容体を介さずに、心筋細胞内AChレベルを上昇させ、心保護作用を発揮することがあきらかになっている。 方法:塩酸ドネペジルを飲料水に溶解し、一日用量が、5mg/kg相当になるようにし、無作為に割り符けた心筋梗塞心不全マウスと偽手術マウスに投与し、心不全発症12週後にランゲンドルフ潅流心で心機能を評価した。 結果:塩酸ドネペジルは、収縮期末圧容積関係における容積軸切片を減少させ、収縮期末エラスタンスを上昇させた。また、左室拡張期末圧容積関係を緩徐にし、心重量を減少させた。 結論:塩酸ドネペジルは心筋梗塞後心不全のリモデリングを防止し、心機能を改善する。これらの作用は、VNS療法と同様であった。したがって、塩酸ドネペジルは、VNSの代替的薬物療法の有力な候補と考えられる。
|
Research Products
(15 results)