2009 Fiscal Year Annual Research Report
人工網膜による視機能再建-視細胞変性にともなう網膜神経回路のリモデリングへの対応
Project/Area Number |
20300187
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澤井 元 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (20202103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 智満 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70314309)
八木 哲也 大阪大学, 工学系研究科, 教授 (50183976)
山下 勝幸 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20183121)
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Keywords | 人工網膜 / 電機刺激 / 視細胞変性 / 神経節細胞 / 膜電位 / イメージング / 樹状突起 / 可塑性 |
Research Abstract |
人工網膜は、カメラで捉えた画像データに基づいて網膜を電気刺激することにより視細胞変性疾患による失明患者に疑似光覚を発生させ視機能を回復させる人工感覚器である。現状の人工網膜は、視細胞変性後の残存網膜神経回路が正常に機能することを前提にしているが、最近、その変性初期から網膜回路に大規模なリモデリングが始まっている事を示唆する形態学的研究結果が報告されている。そこで、本研究は、我々が開発している脈絡膜上-経網膜刺激型(suprachoroidal-tranretinal electrical stimulation, STS)の人工網膜をリモデリングに対応させるために、網膜神経回路の機能特性が視細胞変性に伴ってどのように経時的に変化していくのかを解析し、網膜神経回路への電気刺激がこのリモデリングにどのような影響を与えるのかを検討することを目的に掲げている。今年度は、まず、STSに対する網膜神経細胞の応答のイメージングの確立するため、予め膜電位感受性色素(VSD)で染色したラットの摘出網膜伸展標本にSTSを与え、その応答をVSDイメージング法で記録・解析した。その結果、刺激電極直下の部位から潜時1ms以内で数msの興奮性応答が発生した。この応答は網膜内の視神経線維の走行に沿うように視神経円板に向かう方向とその逆に遠ざかる方向との2方向に広がった。更に、この応答はTTXにより消失することが分かった。以上のことから、STSによるVSDイメージング法で網膜に残存する神経節細胞の応答特性を解析可能になった。次に、視細胞変性後の網膜神経節細胞の形態変化を解析するため、変性開始直後のRCSラットの網膜神経節細胞内にビオチン化合物を注入して樹状突起を可視化し、その形態を解析した結果、この段階では特に異常は認められなかった。
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