2010 Fiscal Year Annual Research Report
人工網膜による視機能再建-視細胞変性にともなう網膜神経回路のリモデリングへの対応
Project/Area Number |
20300187
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澤井 元 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20202103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 智満 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70314309)
八木 哲也 大阪大学, 工学系研究科, 教授 (50183976)
山下 勝幸 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20183121)
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Keywords | 人工視覚 / 電気刺激 / 視細胞 |
Research Abstract |
視細胞変性の進行にともなう網膜神経回路のリモデリングに対して、電気刺激が及ぼす効果を形態学的に評価するため、25週齢のRCSラットの片側の眼球に二相性矩形電流パルス(0.2ms/相,0.1-0.5mA)を10,20,50,100Hzで1hr/日、1日/週の頻度で4週間経角膜的に与えた。コントロールとして、反対側の眼球には電極を装着するのみで電気刺激は与えなかった。4週間の電気刺激後、両眼球を摘出し樹脂包埋した後、ミクロトームで網膜切片標本を作製し、両網膜の細胞構築を比較した。作製した標本から神経線維層・神経節細胞層・内網状層・内顆粒層の平均の厚さ、神経節細胞層・内顆粒層の平均細胞密度を計測した。その結果、それぞれの層の厚さや細胞密度に関して電気刺激側とコントロール側との間に有意な差は認められなかった。また、網膜全伸展標本上で網膜神経節細胞のマーカーである抗TuJ-1抗体による免疫染色を行い、神経節細胞の残存数を調べて電気刺激の細胞保護効果を評価したが、用いたパラメータ範囲内では保護効果を認めることは出来なかった。また、Lucifer Yellow細胞内注入による神経節細胞の樹状突起を可視化して、樹状突起の広がりと分枝を観察したが、電気刺激側とコントロール側との間に有意な差は認められなかった。これらの結果は、人工網膜の使用にともない残存回路の変性過程を加速させる可能性はほとんどないことを示唆している。一方で、電気刺激による神経節細胞の保護効果が認められなかったことから、長期の人工網膜使用にあたっては、神経栄養因子などの薬物療法の併用が必要であることが示唆された。
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