2010 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄再生に寄与する後根シュワン細胞を活性化する運動療法刺激の検討
Project/Area Number |
20300190
|
Research Institution | Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
緒方 徹 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 部長 (00392192)
|
Keywords | グリア細胞 / 髄鞘 / 後根神経 / トレーニング / シュワン細胞 / オリゴデンドロサイト |
Research Abstract |
平成22年度は研究の最終年度に相当する。前年度までの結果よりトレッドミル訓練によるラット損傷脊髄内のシュワン細胞変化を観察することは困難と考えたため、本年度は訓練とは逆に脊損後の活動性を減じる実験系を考案した。脊髄損傷後のラットに対し尾部懸垂モデルを作成し、受傷後2週間の後肢荷重除去を行った。尾部懸垂ラットではコントロールのラットと比較し、有意に運動機能の低下が観察されたため、後肢の活動度の減少が影響したものと解釈した。このような現象の中に後根神経節由来のシュワン細胞の挙動の変化が含まれているのかを検討するため、特異抗体である抗p75抗体による免疫染色を行った。しかし、両群間に有意な差は見られず、研究期間を通じて後肢の活動性がシュワン細胞の機能に影響を及ぼすことを実証するデータは得られなかった。 一方、脊髄損傷後の運動トレーニングにおけるシュワン細胞の挙動と役割を解析するためのシステムとして、シュワン細胞の移植実験を前年度に引き続き行った。細胞内の機能制御実験と併せて実施できるように、遺伝子導入による機能改変シュワン細胞とコントロール細胞を同時に移植し、組織解析が行えるTwo Color Transplantationの手法を確立した。研究期間で運動トレーニング(あるいは尾部懸垂)のモデルに適応することはできなかったが、今後の研究に応用可能な手法となった。 また、研究計画で想定していたgrowth factorと髄鞘形成細胞の機能の関係について培養細胞レベルの実験を行った。シュワン細胞と同様に髄鞘形成細胞であるオリゴデンドロサイトに関して解析を行い、growth factorによる分化制御のなかで転写因子Hesファミリーの機能について明らかにし、論文発表を行った。
|