2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20300209
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
永木 耕介 Hyogo University of Teacher Education, 学校教育研究科, 教授 (10217979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真田 久 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (30154123)
鈴木 康史 奈良女子大学, 文学部, 准教授 (40323282)
和田 浩一 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 准教授 (20309438)
寒川 恒夫 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (70179373)
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Keywords | 嘉納治五郎 / 体育思想 / 海外調査 / 柔道 |
Research Abstract |
本研究の目的は、教育者でありかつ国際オリンピック委員であった嘉納治五郎(1860-1938)の体育思想が、海外において如何なる評価を受け、また実際にどのような影響を及ぼしたのかについて明らかにすることにある。本年度は主に、嘉納が創って世界に広めた講道館柔道について、研究分担者らの協力を得ながらヨーロッパでの調査活動を行った。嘉納の普及活動はイギリスおよびドイツで盛んであり、特にイギリスでは、現地に居住してロンドン武道会(Budokwai)を開設していた日本人の柔術家(小泉軍治、谷幸雄)らが嘉納の訪問・指導によって柔道へと転向し、イギリスだけでなくヨーロッパ中に影響を及ぼした。そこで、2008年9月、武道会を訪問して現会長等から過去の情況に関する聞き取り調査を行い、また、バース(Bath)大学の図書館に所蔵されている武道会議事録、各種の手紙等の調査にあたった。それらの結果は現在分析中であるが、イギリスにおいて嘉納の柔道普及を容易にした一因には、「柔術」が先行して伝播していたことがあったと推察される。また、武道会が講道館支部となる1934年頃までは確実に嘉納の影響が及んでいたが、その後、ベルリン・オリンピック(1936年)が迫るなかでドイツの柔道組織がオリンピックへの柔道参加を希望するなどしたため、イギリス側は嘉納に対して不信感を抱いた様子がある。これらの詳細が判明すれば、「オリンピックと国家ナショナリズム」という大きな研究課題に対しても嘉納/柔道を題材とした新しい史料を提供できる可能性がある。なお、スイス・ローザンヌのオリンピック博物館において嘉納のIOC委員としての活動を調査し、また、フランスでは研究分担者が彼国の柔道史に詳しいM.Brousse博士に資料提供等をいただいた。それらについても現在検討中である。
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Research Products
(1 results)